中国が南シナ海(原文表記は南中国海)に造成中の人工島が米中関係、東アジア外交で論議の的になっている。中国は人工島に軍事基地を建設し、太平洋進出の足掛かりにする戦略だ。これに対抗し、米日は重要なエネルギー輸入ルートで戦略的要衝である南シナ海を中国が掌握するのを放置しない立場だ。
共同通信によると、米国は中国が南シナ海の南沙諸島(スプラトリー諸島)に建設中の人工島から12カイリ(主権下の地域で領海に相当する範囲)に米艦船を派遣する方針を東南アジアの関係国に伝えたと報じた。これに先立ち、習近平国家主席は18日、人工島の海域内に外国の軍艦が進入することを容認しないとし、人工島防衛に強い意思を示した。米国が軍艦を派遣した場合、両国による衝突の可能性も否定できない状況だ。
Q:中国はなぜ人工島をつくったのか。
A:中国が海洋に進出するためには、東シナ海や南シナ海に出る必要があるが、東シナ海は韓国、日本など米日同盟勢力が強いため、南シナ海経由で軍事・貿易の海上交通路を確保する戦略だ。英エコノミスト誌は「東シナ海では中日の領土紛争対象である尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐり、日本が攻勢をかけており、米国がそれを支持すると、中国は大国である米日と直接争うのではなく、やや劣勢のベトナム、フィリピンがある南シナ海に進出しようとしている」と分析した。尖閣諸島は強固な米日安保同盟の象徴に等しく、中国としても攻略は容易ではない。一方、南沙諸島の周辺国は中国に比べ軍事的に弱いため、人工島建設を強硬に制止するのは難しい。
中国の戦略は南シナ海に人工島をつくり、それを土台に周辺の領有権を主張した後、海洋進出の足掛かりにすることだ。中国は昨年初めから南沙諸島の暗礁7カ所などを埋め立て、人工島をつくり始めた。7つの人工島の総面積はサッカーコート1500面分に相当する。大規模な滑走路、港、レーダー、灯台、放射砲を備えている。中国は人工島建設を通じ、周辺海域での石油採掘(推定埋蔵量110億バレル)を強行する一方、中東からアジアに運ばれるタンカーなどの航行を制限する計画とされる。南シナ海は世界の商船の3分の1が航行する海域で、物流量はスエズ運河の6倍、パナマ運河と同程度だ。