福岡にある調理の専門学校の学園祭で出される恒例のメニューがある。創立者が残した伝統のカレーで、いわば同校のソウルフード。聞けば、太平洋戦争の始まる前のレシピも残っているという。「ぜいたくは敵だ」の標語が徹底された時代。それでも、創立者が希望を失わず、手に入る食材で編み出した「反骨のメニュー」とは――。

 伝統のメニュー「ハルさんカレー」をつくったのは、中村調理製菓専門学校(福岡市中央区)の創立者、中村ハル(1884~1971)。家庭科の教師だった戦前、新宿中村屋に弟子入りして本格的なインドカレーを学んだ。神戸などの高級店でも洋食料理を身につけ、同校の前身の女学院を49年に福岡市内に開校した。

 「ハルさんカレー」は同校の授業の教材やバザーの目玉としてつくられ続けてきた。24、25日にある学園祭でも、1食500円で提供される。