(三味線と歌)
(鳥居勘三郎)
祇園の呉服店「司屋」の女将篠山信子
その経営手腕が高く評価される一方で派手な生活ぶりに眉をひそめる者もいた
その女将が…
鴨川べりで他殺死体として発見された
死因は扼殺。
13年前のことであった
信子は交際範囲が広かったことや金銭トラブルなどを多く抱えていたことから数人の容疑者が浮かんだ。
その中に夫婦仲が悪かったと噂のあった信子の夫篠山久志の名前もあった
だが信子の死亡推定時刻には仕事場に籠っていたことが証言され疑惑は晴らされた
他の容疑者もいずれもアリバイがあり事件は迷宮入りした。
そして…
(宮田典子)できたんですか?
(篠山久志)ええたぶんね。
これで大丈夫だと思う。
とうとう平安時代と同じ瑠璃色が…!おめでとうございます。
ありがとう。
(七尾洋子)ふあぁ…おたまさんおはよう。
(おたま)おはよう。
あれおみやさんは?坊ちゃまならお散歩です。
ふ〜ん。
二日酔いでね胃の調子が悪いとおっしゃるからお勤め前に散歩して昨日のお酒を抜いてリフレッシュしてらっしゃいって。
リフレッシュ!?お〜すごい英語だぁ。
イエース!あらまあ。
それよりねあなた朝殿方の前に顔を出す時そんなスッピンでパジャマ姿で出てこないでくださいましよ!でも素肌がきれいだって。
坊ちゃまがそうおっしゃったの?自分でもそう思うし。
自分でね。
(鳥居勘三郎)あぁ〜マイナスイオン!あれ〜?…あ!おみやさん!朝ご飯ですよ〜。
洋子。
はい?朝飯前に110番。
えっ?
(パトカーのサイレン)
(会沢桂子)おみやさんが第一発見者だなんて…。
おみやさんが歩けばヤマに当たるなんつって。
(兵藤兵吾)ヤマのほうがおみやさんを呼んでるのさ。
死亡推定時刻は?まだ5〜6時間しか経過してないと思います。
(茅野太一)とすると午前2時か3時か。
死因は頭部挫傷。
(田口浩司)どうしたんですか?会ったことある。
(大滝鉄也)ガイシャの身元は名刺によれば「スナック香」社長香田恒夫。
香田恒夫…。
(高岡俊介)凶器はこの辺りにありませんね。
この辺争った形跡もないようですしね。
(星野康夫)殺害の現場はここじゃないのかもしれんな。
あら?
(大滝)何すか?何それ?小豆ですね。
小豆?小豆小豆…。
でも何で小豆なんか。
スナックで小豆を使ったつまみを出していたとかね。
そうじゃないみたいですよ。
今ですねガイシャが経営していた店の従業員に聞いてきたんですけど小豆を使った料理出してないそうです。
そうなんだ。
うん。
あっ。
いや…そうだ!小豆って言うからさ食い物屋関係のヤマばっかり探してたら違う。
呉服屋の…これ!呉服屋のヤマ。
「呉服店女社長扼殺事件」?そのヤマも小豆と何か関係してるんですか?殺害された女性社長の袖の中に小豆が入ってた。
これだ。
でこれヤマと関係あったんですか?いや。
どうして小豆が殺害された女性社長の和服の袖に入ってたかわかんなかった。
でホシは?女性社長の交友関係が派手で仕事上の金銭トラブルもあったところから容疑者は何人か浮かんだが全員にアリバイがあって結局お宮入り。
じゃあ小豆と殺しの関係わからなかったわけですか。
(村井信治)また油売ってんのかい。
あっ…。
聞き込みから戻ったらまずこの私に報告だ。
何度言ったらわかるんだ。
はい。
ここは資料課といってな大昔のヤマの資料を並べてるだけで…。
だけ?だけ?いやだから先輩たちの血と汗と涙と靴底の減り具合を記録してるんだろう?わかってますよそんなことは。
ったく。
だんだんわかってきましたね課長も。
あと一息。
大滝!茅野!いってらっしゃい。
失礼します。
でもその2つのヤマどちらのガイシャからも小豆が発見されたなんて偶然とは思えないですよね?ほんとね。
桂子さんガイシャの名前香田?
(桂子)香田恒夫です。
香田恒夫あった。
あった?この呉服屋さんの女性社長のヤマの資料にですか?殺害された香田は呉服店司屋の営業担当。
えっ!じゃあ13年前に司屋の社長が殺害されて今度は元社員がってことですか?
(カメラのシャッター音)まだ見てるんですか。
ええ。
乾いていくに従って微妙に瑠璃色になってくるんで。
見とれちゃってるんです。
宮田さん新聞記者じゃなくてうちに入っていたらきっといい染物職人になってましたね。
ありがとうございます。
父もそう言うかもしれません。
お父さん?もう亡くなったんですけど記者だったんです。
ふーん。
親子二代で記者さんですか。
いいですねぇ。
でもいくら頑張っても半人前で父に「お前は新聞記者に向いていない」って言われてるような気がして。
いやそんなことありませんよ。
うちにもね新聞や雑誌から取材に来たことがあるんですが宮田さんのように時間をかけて取材してくれる人はいませんでしたしね。
立派な記者さんですよ。
ありがとうございます。
でもこれ今までとどう違うんですか?今まで出なかった微妙な色が出てるような気もするんですが…。
ええ。
瑠璃が教えてくれたんです。
瑠璃さん…お嬢さんが?ええ。
瑠璃のことを考えていたらあるヒントが浮かんだので染めを定着させる媒染の時にある物を新たに使ってみたんです。
ある物…。
何を使ったんですか?企業秘密です。
そっか。
でもお嬢さんは私と同じ歳ですよね?ええ生きていれば。
篠山さん私の父と同じ歳なんです。
そうだったんですか。
ごめんください。
(典子)あら…鳥居さん!典子ちゃん。
お久しぶり〜。
ご無沙汰してます。
こちらこそ。
お知り合い…?うん昔ちょっとね。
ああ〜。
どういう取り合わせ?うんうん。
うちの新聞に「人シリーズ」っていうのができて今度私がそれを担当させてもらうことになったんです。
人シリーズ?ええ。
京都の伝統を守る職人さんに密着してその仕事ぶりを紹介する企画です。
その第1回目が篠山さんなの。
へえ〜。
ほお〜。
篠山さん平安時代の手法をそのままに藍から瑠璃色を出そうとしてたんです。
瑠璃色?紫がかった紺色といえばわかりやすいですかね。
(典子)平安時代の瑠璃色ってほんとに深みがあってきれいなんですよね。
その色を出そうとして。
それが今完成しかかってるんです。
乾いてみないとまだ成功かどうかわからないんですが。
絶対大丈夫ですよ!今までとは色合いが違うし。
でも鳥居さんはどうしてここに?篠山さんちょっといいですか?はい?ちょっとすいません。
篠山さん。
香田恒夫さんご存じですね?香田?…ああ昔うちで営業をやっていた香田ですか?その香田さん今朝方遺体で発見されました。
遺体!?他殺です。
他殺って殺されたんですか?あの香田さんスナックやってましたよね?ええ。
家内が亡くなり司屋をたたんだ時にスナックをやりたいと言ってきました。
最近お会いになりました?いいえまったく。
あの…昨夜どこにいらっしゃいました?私ですか?昨夜っていうより今朝の2時から3時の間なんですが。
鳥居さん。
それってどういうことですか?昨夜は私はずっとここで仕事をしていました。
私もずっとここで取材させてもらっていましたから。
一晩中?そうです。
そうですか…。
驚いたなぁ〜。
まさかおみやさんが篠山さんを疑ってただなんて。
一応念のため。
そんな感じじゃなかったけどどうしてですか?13年前奥さんが殺害された時篠山さん1億5千万の保険金手に入れた。
1億5千万!?うん。
あの規模の会社だったら社長の保険金それぐらいでもおかしくはないんだけども。
ふーん。
それも容疑者の1人になった理由だったんですね。
それに篠山さん入り婿でね。
夫婦仲が悪いっていうより信子さんに顎で使われてたという聞き込みもあった。
奥さんに顎で?妻が社長で夫が専務。
その信子さんが殺害されて篠山さんが社長になった。
それだけ聞くとかなり怪しいですよね。
鳥居さん!篠山さんを疑っているなら間違ってます。
あんなふうに新しい色作りに真摯に取り組んでいる人が殺しに関係あるとは思えません。
でもね典子さん13年前に…。
はい。
知ってます。
奥さんが殺害されて篠山さんが容疑者の1人になったこと。
でもあれはアリバイが証明されて間違いだったじゃないですか。
そのアリバイを証明したのが今朝遺体で発見された香田さん。
そうだったんですか?でもだからって…篠山さんは関係ありません。
瑠璃色か…。
えっ?いや。
篠山さん殺された奥さんとの間に瑠璃ちゃんていう中学生の一人娘がいた。
瑠璃ちゃん?瑠璃色の瑠璃。
「いた」ってまさか…。
そう。
奥さんが殺害される1年前に瑠璃ちゃん…。
ストーカーのようにしつこく付きまとってた男に…。
殺されたんですか!?そう。
一人娘の瑠璃ちゃん…。
だから瑠璃色にこだわってたんですね。
…ん?てことは篠山さんて奥さんと娘さんご家族を2人とも殺されちゃったってことですか?うん。
ひどい…。
おみやさん。
香田の事件当夜の足取りですが午前1時に店を終え香田が戸締りをして帰ったそうです。
家族構成は?独身です。
店を出た後の足取りがわからないんですよね…。
店の経営状態は?よくありません。
そっか…。
それで?いやこっちで聞いたほうが早そうだから。
なあ大滝君高岡君。
はい。
ああ…いやいや。
ガイシャの怨恨関係は?人は悪くなかったという評判で揉め事があったような様子はなかったようです。
女性関係のトラブルは?特に聞きませんでした。
ふーん。
金銭のトラブルは?業者への支払いやホステスへの給料が遅れていたとのことです。
そうですか。
じゃあその線で捜査を進めてくれ。
はい。
ここのほうが居心地が良さそうだからゆっくりお茶でも飲んでいけ。
何なら資料課に移るか?いいぞ〜資料課は。
うん…。
拗ねてる〜!あお茶出す?はい。
あいやいや…まずいっすよ。
宮田お客さん。
あっ鳥居さん!あ…どうぞ。
どうぞ。
あらっかわいいお手玉。
篠山さんが作ってくれたんです。
あそう。
生地がかわいいわよね。
篠山さんが染めた糸です。
自然染色だから色合いがやわらかで優しいでしょ?うんうんステキ!ほら。
自然染色?自然のものを使って染料を作ってるんです。
司屋の時もそうだった?いや奥さんが亡くなって司屋を閉めて…で篠山さんは自然染色に没頭してるんです。
ああそうなんだ。
地球環境の役にも立ってるし色合いもいいし。
まあ手間はかかりますけどねいいですよねぇ〜。
そもそもそれが取材しようと思った理由なんです。
へえ〜。
そっか。
何か?ちょっといい?はい。
典子ちゃん。
篠山さん取材してて何かトラブルに巻き込まれてるように感じたことなかった?いえそれが全然。
昨夜篠山さんとずっと一緒?ええ。
あの瑠璃色がいつ完成するかわからなかったしその瞬間に立ち会いたいと思ったから。
途中で出かけたなんてことない?ありません。
一晩中?ええ。
篠山さんお嬢さんの命日までにこの色を復元させるんだって不眠不休で何度も作り直して。
それが今朝やっとようやく納得のいく色が出せたんです。
あらっ…きれい!あの作業桶から糸を取り出すタイミングが難しいらしくて片時も目が離せないんです。
だから篠山さん染料の桶のところにずっと張り付いてました。
そっか…。
だから鳥居さん篠山さんは今度のヤマに関係ありませんから。
あぁ…でもね典子さん。
妙なことが1つあるの。
何ですか?13年前奥さんが亡くなった時着物の袖にねなぜか小豆が入ってたんですって。
小豆?それでね今度のガイシャ元司屋の営業の香田恒夫さんのズボンの裾にも小豆が入ってるのが発見されたの。
それもあってもしかしたら今度のヤマ13年前の奥さんのヤマに関連があるんじゃないかと思ってそんなことを聞いてるの。
ちょっと待ってください。
奥さんのヤマと関連があるってそれじゃまるで篠山さんが奥さんを殺害したような言い方じゃないですか!?私も典子さんと同じ意見なんですよね。
そもそも地球の環境も考えて自然染色にのめり込むなんて人を殺す人の発想じゃないって単純に思っちゃうし。
(小池仁美)自然染色って草木染めとかそういうもの?うん。
ママも知ってた?うん。
自然の材料だけで染めると色合いが何ともやわらかで肌にも優しいのよね?
(福島重夫)ああいうのはやっぱり自然の温もりを感じますよね。
うーん…。
いやぁおみやさんどうしはったん?ため息なんかつかはって。
(ため息)「父は尾張の露と消え」…。
「母は平家にとらえられ」
(2人)「兄は伊豆に流されて」
(篠山瑠璃)「おのれ一人は鞍馬山」
(戸の開く音)
(篠山)「敵の平家をほろぼして」
(篠山)「わが家源氏をおこさんと」
(典子・篠山)「ひるは学問剣術は」「人目をしのぶ夜のわざ」典子さんこの歌知ってるんだ?はい。
亡くなった父がお手玉をして遊んでくれる時いつもこの歌でした。
へえ〜そうなんだ。
実は私の父も篠山さんの奥さんと一緒で殺されちゃったんです。
…殺された?どうして?記者だった父がある事件を取材してて。
あぁそうか。
だから私家族を殺された人の気持ちわかります。
ありがとう。
なのに警察ったらねえ?仕方ないさそれが警察の仕事だって鳥居さんも言ってたしね。
でも鳥居さんならきっと篠山さんの疑いを晴らしてくれますよ。
ああ。
あの…篠山さん。
何ですか?企業秘密…。
ヒントだけでも教えてもらえませんか?企業秘密?その瑠璃色を作る時に新たに使ったもの。
内緒です。
そうですよね?あはは…そうですよね。
こんばんは。
これが平安の瑠璃色ですか?ええ。
やっぱりいい色合いですね。
お嬢さんの瑠璃ちゃんもきっと喜んでるでしょう。
自然染色ってどういうものをお使いに?自然界にあるものすべてです。
自然界にあるものすべて…例えば?くるみよもぎ昆虫たまねぎの皮あかね草の根など何でも染料に使えるんです。
昆虫まで…すごいですね。
あの…あなたが司屋をたたむ時に香田さん何か言いませんでした?え?あなたはこういうやりがいのある仕事に没頭するためにあんな大店たたんだわけですけどそのこと香田さん理解してくれたのかなと思いまして。
わかってくれましたよ。
ちゃんと。
(ドアの開く音)おみやさん香田なんですがね。
(村井の咳払い)あっ香田なんですが妙な話を聞き込みました。
(村井)妙な話?
(兵藤)香田のスナック行き詰まってたようなんですが借金した相手に近々金が入るようなことを言ってたそうです。
(村井)金が入る?
(大滝)といってどこから金が入るのか今のとこ不明なんですが。
(桂子)おっはよー。
おみやさんこれ!食べて。
お赤飯。
うちの息子の今日お誕生日なんです。
息子?アハハハ!やぁだ引きすぎ!おみやさん冗談ですよ。
いただき物のおすそ分けですけど。
あら〜きれいな色!これ食紅とか使ってるんですか?やぁね洋子ちゃん。
これは小豆の煮汁で赤くなるのよ。
小豆の煮汁。
あっ。
小豆!小豆。
染料の素材は自然界のすべてっておっしゃいましたよね?
(篠山)ええ。
媒染の過程で加えるものによって色合いも違うんでいろいろ試してます。
大変な作業なんだ。
瑠璃ちゃん…。
これお手玉?ええ。
瑠璃が小さい時にあの子の手に収まるように小さいお手玉を作ってあげたんです。
じゃその頃の?いやもうボロボロです。
でもこれ瑠璃の形見ですから。
(典子)鳥居さん。
おかしいです!篠山さんがどんな思いであの瑠璃色を作ろうとしたのか私ずっと見てましたけど…。
あんな真剣な目で寝ずに挑戦してたんですよ?あんな姿を見たらどんなヤマだって篠山さんがホシだなんて思えません!あの瑠璃色は亡くなった瑠璃ちゃんの思い出でもあるし。
ほんとにあの夜典子ちゃん篠山のそばにずっといたの?いましたよ。
その前の夜もその前も。
ということは3日間?ええ。
いつ完成するかわからなかったから。
3日間徹夜?そうです。
事件が起きた午前2時から3時の間もずっと…。
なに?あ…ううん。
(典子)4日目の朝桶から取り出した糸を見た篠山氏の顔がわずかに微笑んだ。
その笑顔が染色がうまくいったことを雄弁に物語っていた。
平安時代に作られたのと同じ鮮やかな瑠璃色が現代に甦った…瞬間であった。
(携帯電話)ちょっと失礼。
(携帯電話)はい。
…ああ俺だ。
ああ。
ああ…わかった。
ちょっと昔の資料を見てきます。
すぐに戻ります。
はい。
やってる。
典子ちゃん。
鳥居さん。
はいお土産〜。
うわっすごい!ありがとう。
あったかいからすぐ食べて。
うん。
鳥居さんは?あぁ食べてきた。
食べました?うん食べた食べた。
(典子)じゃいただきまーす。
うわ…すごい。
思い出した?…え?あの夜篠山が作業場離れたかどうか。
20〜30分だけ。
…離れた?でも別室に他の資料を読みに行っただけです。
30分?うん。
ねえ鳥居さん。
はい。
篠山さんの亡くなったお嬢さん私と同じ歳なんです。
篠山さんも私の父と同じ歳なんです。
篠山さんが仕事してる時のあの横顔…。
父が原稿書いてる時の横顔とそっくりなんです。
だからかな初めて会った時からすっごく親近感湧きました。
だから鳥居さんだってあの瑠璃色を作っている時の篠山さんの顔を見たらこの人はホシじゃないってきっとそう思いますよ。
信じる…信じたいよ。
けど人間てねその場でどんな顔でも持つんだ。
お手玉見せて。
お手玉?篠山にもらったって言ってたじゃない。
そうだけど…。
見せて。
いい?え?ちょっと…!いいって。
(篠山・瑠璃)「母は平家にとらえられ」
(篠山・瑠璃)「兄は伊豆に流されて」
(2人)「おのれ一人は鞍馬山」あっ…何してるんですか!?おはようございます。
(七尾清一郎)おはよう。
何だい君たち。
朝から勝手に人の部屋で。
お父様。
お願いがあります!何だよ「お父様」って改まって…。
あっもしかしてお前たち…。
認めてください認めてください!お願いします絶対に後悔させませんから!ここに判子をついてください。
判子ってな順番が逆だろ。
まずはおみやさんが…。
もう時間がないのよ私たちには!ま確かに若くはないよな。
何だ?お願いします。
何だ…捜索令状?何これ!?恩に着ます。
ありがとねぇ。
おいちょっとお前ら…。
あら〜。
どうして瑠璃色の糸燃やしちゃったんですか?
(篠山)まだ本物ではないからです。
この前あなた「思いどおりの色が出せた」って言ってませんでした?まだまだだったんです。
平安の瑠璃色を出す最後に入れるものって何ですか?企業秘密です。
小豆の煮汁…違います?ここにはそんなものはありません。
これ…典子ちゃんのお手玉。
お手玉の小豆を煮たりはしません。
小豆は使っていないんです!あぁ…。
これが染料の新しい素材ですか。
失礼します。
小豆です。
殺された香田さんのズボンの裾から小豆が発見されました。
事件があった夜あなた30分ほど作業場から離れましたよね?あの時あなたここで香田さんに会ってたんじゃないんですか?香田さんは13年前あなたのアリバイを偽証したことをネタに金を出せと強請った。
はい…。
(香田恒夫)3千万円ぐらい何とかなるでしょ。
香田きさま。
お前にはあの時…。
あの時も3千万でしたっけ?少なくないですかねぇ?私がアリバイを嘘ついて証言しなかったらあなた人殺しで刑務所だった。
いやまだ時効も終わっちゃいない。
3千万明日までにお願いします。
とりあえず。
とりあえず?え…?それで終わりだとでも思ってたんですか?私金がなくなったら何度でも来ますよ。
だって私あなたの命の恩人ですからね。
何だよ離せっ!お茶でも淹れましょうか?ごめんなさい…。
13年前奥さんを殺害したのもあなたってことですよね?ええ。
あの晩お茶屋遊びから酔って帰ってきた信子は…。
(篠山信子)まだそんなもんやってんの?ああ自然染色だ。
誰がそんなことせえ言うたの?あんたは私の言うとおりやってたらええのや。
自然染色?ええかっこせんといて!瑠璃を殺したくせに。
何だと?塾の帰り迎えに行ってって言うたのに行ってくれへんかったの誰やの!?だからそれは糸を漬けていてだな…。
あんたが迎えに行ってくれてたら瑠璃は殺されへんかったんよ?あんたが殺しといて思い出にひたってる。
何が自然染色や!そんなもん絶対させへんから!何やこんなもん!!信子!何よ!待てっこの!キャッ!何すんの…!
(もみあう声)瑠璃があんなことになるまでは信子とはうまくいっていたんです。
瑠璃が喘息だったので自然染色の洋服を着せれば少しは楽になるんじゃないかと…。
いつかは2人でやっていこうって話し合っていたんです。
それが…瑠璃があんなことになってしまって。
すべてがダメになってしまいました。
瑠璃のことを話されてあいつの言うとおりあの時私が迎えに行っていればと思っていたので…。
カッとなって…。
もう何もかもがわからなくなってしまったんです…。
申し訳ありませんでした…。
瑠璃ちゃんが真実を話すように伝えてくれたんですね。
ええ…。
これ。
(泣き声)気づいてたんだよね?最初から。
あの夜短い時間だけど篠山が作業場を離れた時間があるってこと気づいてたんだよね?けど典子ちゃん君ジャーナリストだよ。
どんな事情があっても私情をはさんで事実を隠しちゃいけない。
どんなつらい真相が出てきても私情をはさんで事実を隠しちゃいけない。
それジャーナリストの使命だよ。
お父さん自分の命でそれ証明したよね。
お父さんはそう生きたしもし今生きてたらきっとそう言うと思うよ典子ちゃん。
真実か…。
いいことばかりじゃないからつらいですよね。
典子ちゃんも篠山がお父さんに似てるって言ってたよね。
でも誰かがやらなきゃいけないことだから。
そういえばおみやさんて隠してる真実ってないの?ないない…何にもない。
えーっそうかなぁ?ほんとは独身で寂しいとか?それ自分のことじゃないの?は…?独身で寂しいから結婚したいとかさ。
ない絶対ない!そんな事実どっこにもない!いやつらい真実も告白すると楽になるよ。
だからないんだってば!あ〜なんかバッカバカしくなってきた。
2015/10/16(金) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
おみやさん4[再][字]
京都鴨川東署。資料課の窓際課長・鳥居勘三郎が、部下の七尾(櫻井淳子)と迷宮入りした難解事件を鮮やかに解く、渡瀬恒彦主演の好評シリーズ第4弾。
詳細情報
◇番組内容
朝の散歩の途中、おみやさんと洋子はスナック経営者・香田恒夫の死体を発見する。13年前呉服店『司屋』の女社長・篠山信子が殺されるという事件が発生、夫の久志(若松武史)も容疑者の一人に数えられたのだが、犯人が特定できぬまま、久志のアリバイを証明したのが香田だったのだ。
◇出演者
渡瀬恒彦 櫻井淳子 加勢大周 七瀬なつみ 谷啓 菅井きん 他(ゲスト)遠藤久美子 若松武史
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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