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東住吉放火殺人:無実訴え20年…元被告「正義の決定」

毎日新聞 2015年10月23日 11時43分(最終更新 10月23日 15時17分)

再審開始が認められ、報告集会で拍手をする支援者ら=大阪市北区で2015年10月23日、森園道子撮影
再審開始が認められ、報告集会で拍手をする支援者ら=大阪市北区で2015年10月23日、森園道子撮影

 逮捕から20年と1カ月余り。「無実」の強い訴えが再審への扉を再び開いた。大阪市東住吉区で小学6年の女児(当時11歳)が母親と内縁の夫の放火によって焼死したとされた放火殺人事件で、大阪高裁は23日、大阪地裁の再審開始の決定を支持した。無期懲役が確定し、服役している青木恵子元被告(51)と朴龍晧(ぼく・たつひろ)元被告(49)は弁護団から報告を受け、喜びをかみしめた。大阪高裁前では2人の家族や支援者らが歓声を上げた。【山田毅、戸上文恵、堀江拓哉】

 「良かった。安心しました。科学的に証明された真実を認めて、裁判所には正義の決定をしていただいた」。弁護団によると、青木元被告は収監されている和歌山刑務所で、弁護士から大阪高裁が再審開始を認めたとの一報を伝えられると、笑顔でそう話したという。大分刑務所に収監中の朴元被告にも、弁護士が面会して高裁の決定を伝えた。

 朴元被告は今年8月、毎日新聞記者と面会した。「私は無実。勝利を確信している」。時折笑顔を見せ、穏やかな口調でそう語っていた。逮捕から20年たった今の気持ちについて、「この20年、心にぽっかりと大きな穴が開いている」と語り、高裁の判断を待つ心境を「(大阪地裁の決定から)3年かかったが、今はすっきりした気持ちです」と話した。

 高裁が再審開始を支持し、刑の執行停止で釈放された場合には、「火災現場の跡で手を合わせ、心の区切りをつけたい」と述べた。「電気工事をもう一度勉強し、1級建築士の資格を取りたい」と夢も語った。

 青木元被告は高裁決定を前に、記者への手紙に「裁判所が常識的な判断をすれば再審開始しかあり得ない」とつづった。即時抗告審の3年半については「とても苦しかった」と振り返り、「両親、息子のもとに帰りたい気持ち」とする一方、「20年も離れた社会に戻る不安がある」と複雑な思いも記した。

 大阪高裁は23日、無期懲役の刑の執行を26日午後2時に停止(釈放)する決定を出した。青木元被告は面会した弁護士に残念そうな表情を見せ、「24日が息子の誕生日だったが、それには間に合わない。でも2日遅れで誕生日パーティーを開いてあげたい」と話したという。

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