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東住吉放火殺人:母ら2人の再審、大阪高裁も支持

毎日新聞 2015年10月23日 10時24分(最終更新 10月23日 15時17分)

再審開始が認められ、支援者らの前で幕を掲げる弁護団=大阪市北区で2015年10月23日、久保玲撮影
再審開始が認められ、支援者らの前で幕を掲げる弁護団=大阪市北区で2015年10月23日、久保玲撮影
大阪高裁の再審開始支持までの経過
大阪高裁の再審開始支持までの経過
再審開始が認められ、涙を拭う朴龍晧元被告の母=大阪市北区で2015年10月23日、久保玲撮影
再審開始が認められ、涙を拭う朴龍晧元被告の母=大阪市北区で2015年10月23日、久保玲撮影

 大阪市東住吉区で1995年、自宅に放火し小学6年の女児(当時11歳)を殺害したとして無期懲役が確定した母親の青木恵子(51)と内縁の夫だった朴龍晧(ぼく・たつひろ)(49)の両元被告の再審請求で、大阪高裁は23日、検察側の即時抗告を棄却し、大阪地裁と同様、再審の開始を認めた。また、26日午後2時に両元被告の刑を執行停止(釈放)するとの決定も出した。米山正明裁判長は「朴元被告の自白による放火の実現可能性は低く、火災原因が自然発火だった可能性がある」と指摘した。

 ◇「自然発火の可能性」

 再審請求については検察側が特別抗告すれば審理は最高裁に移り、断念すれば再審が開始される。刑の執行停止については、検察側が高裁に異議を申し立てた。

 事件の最大の争点は火災の原因だった。確定判決で有罪の根拠とされた「車庫で約7リットルのガソリンをまき、ライターで放火した」とする朴元被告の捜査段階での自白の信用性の有無を中心に、検察側は放火、弁護側は自然発火を主張した。

 決定で米山裁判長は、地裁の審理で火元の車庫を再現した小屋に種火状態の風呂釜を置き、7リットルのガソリンをまいた弁護側の再現燃焼実験と、即時抗告審で検察側が行った同様の燃焼実験を併せて検討。「ガソリンをまけば途中で引火して激しく燃え、ライターで点火する余地はない。やけどを負わないことがありえるのか、疑問が生じる」とし、「自白通りの放火は実現可能性が乏しい」と判断した。

 さらに、弁護側が提出した、事件と同系列車の4台で給油口からガソリンが漏れた事例の調査や、専門家の鑑定も検討した。「少なくとも、100〜300ミリリットル程度に近い量のガソリンが給油口から漏れた可能性は、相当の根拠があると認められる」と判断。自然発火の可能性が具体的にあると言及した。

 そして、当時の火災後の車の状況や目撃証言なども合わせて総合的に証拠を検討した結果、朴元被告の自白について「高い信用性を認める根拠はない」と結論付けた。

 一方、自然発火の可能性を否定しようと検察側が行った追加実験については「漏れると想定するガソリン量が少なすぎるほか、冬場に行われるなど再現性が不十分」と退けた。

 また、米山裁判長は捜査段階の取り調べメモなど、新たに開示された証拠も検討。「警察官が朴元被告に父親の手紙を見せて自白を促したことがうかがえる」としたほか、青木元被告について「取調官が大声を出したり、相当の体調悪化がうかがえる中で供述書が作成された」などと取り調べの問題点も指摘した。

 米山裁判長は刑の執行停止について「無罪を言い渡す蓋然(がいぜん)性がより高くなった。逮捕以来の身柄拘束期間が約20年に及んでおり、刑の執行を今後も継続することは正義に反する」と理由を示した。【堀江拓哉】

 ▽大阪高検の榊原一夫次席検事の話 即時抗告が認められなかったことについては、誠に遺憾だ。決定の内容を十分に検討し、適切に対処したい。

 ▽弁護団の乗井弥生弁護士の話 こちらの主張が全て認められた満点の決定だ。冤罪(えんざい)事件だと明白になった。検察には高裁の決定を確定させ、再審公判手続きを速やかに始めるよう強く求める。

 ◇東住吉放火殺人事件◇

 1995年7月、大阪市東住吉区で民家火災が起き、入浴中の青木めぐみさん(当時11歳)が焼死。生命保険金目的で殺害したとして、母親の青木恵子元被告と内縁の夫だった朴龍晧元被告が逮捕、起訴された。2人は捜査段階で自白したが、裁判では無罪を主張。最高裁は2006年に上告を棄却し、無期懲役が確定した。2人は09年に再審請求をし、大阪地裁は12年3月、請求を認めて再審を開始する決定をし、大阪地検が即時抗告していた。

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