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辺野古監視:委員3人、業者から寄付金受領

毎日新聞 2015年10月19日 19時58分

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県内移設計画で、同県名護市辺野古への移設工事を環境面から監視するために政府が設置した第三者委員会の委員3人が、移設事業を受注した業者から委員就任後に寄付金を受け取っていたことが分かった。違法性はなく、委員らも委員会発言への影響を否定するが、識者は「疑念を持たれかねない」と指摘している。

 委員会は「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境監視等委員会」。仲井真弘多(なかいま・ひろかず)前知事が2013年12月に辺野古沿岸部の埋め立てを承認した際に条件として設置を求め、防衛省が14年4月に設置した。移設事業に伴う環境面への影響について助言するのが目的。委員は13人で、うち2人は本人が、1人は大学が毎日新聞の取材に寄付金受領を認めた。

 荒井修亮(のぶあき)・京都大教授(海洋生物環境学)は14、15年度に計800万円を環境保全コンサルタント「いであ」(東京)から受け取った。同社とは03年ごろからジュゴン調査での付き合いといい「委員会での発言に手心を加えることはない」と語った。寄付金はジュゴン研究をしている研究員の給料に充てたという。

 茅根創(かやね・はじめ)・東京大大学院教授(サンゴ礁学)も委員就任後、移設事業を受注した「五洋建設」(東京)などから東京・沖ノ鳥島のサンゴ移植の研究資料の購入や調査費として250万円の寄付を受けた。「3、4年前から寄付を受け、大学の事務を通して適正に処理している。委員会では非常に厳しく意見している」と語った。

 また、委員長を務める中村由行・横浜国立大大学院教授(水環境学)に今年5月、「東洋建設」(東京)から寄付の申し込みがあり、6月に50万円を受け取ったことを同大が認めた。

 いであは「いろいろな共同研究で指導していただいている中での寄付で、辺野古の件という認識はない」、五洋建設も「あくまでも研究費として寄付した」と話している。

 会議は非公開でこれまで5回開かれた。議事要旨が事後に公開されるが発言者は委員長以外は匿名となっている。2月に辺野古沿岸部で沖縄防衛局が沈めたコンクリート製ブロックがサンゴ礁を損傷していることを市民団体が確認した後も、委員会では目立った助言がなかった。

 宮崎公立大の有馬晋作教授(行政学)は「委員が審査対象と何らかの利害関係が生じてはいけないのは常識。寄付金を受け取っていることが判明した以上、市民からバイアスをかけて見られても仕方がない」と話した。【下原知広、佐藤敬一】

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