警察庁は22日、補聴器を使用する聴覚障害者に、バスやタクシーを運転できる第2種免許の取得を認める道路交通法施行規則の改正案をまとめた。補聴器を着けて一定の聴力があることを条件とする。一般からの意見公募を経て来年4月に施行する予定。
現行制度は補聴器を使わずに「10メートルの距離で90デシベルの警音器(クラクション)の音が聞こえる」ことを条件に、客を乗せたバスやタクシーの運転免許取得を認めている。改正案では、補聴器を着けて聞こえれば、条件を満たしたこととする。
聴覚障害者の運転免許を巡っては、これまでも取得基準が緩和されてきた。2008年6月の道交法施行規則改正で、クラクションの音が聞こえない重度の聴覚障害者について、視野の広い大型バックミラーを備えることなどを条件に普通乗用車の免許取得を認めた。12年4月の施行規則改正では、オートバイやミニバイクは無条件で免許を取得できるようになった。
今回の改正で、聴覚障害者はすべての種類の免許取得が可能になる。
全日本ろうあ連盟の松本正志理事は「聴覚障害者の職域拡大に向けて大きな一歩を踏み出せた」と改正案を評価。「国民に理解してもらうための啓発活動を、国や関係団体と連携して進めていきたい」としている。
タクシー、聴覚障害者、松本正志