記録的な強さのエルニーニョ現象、世界各地に影響及ぼす可能性
2015/10/23 11:26 JST
(ブルームバーグ):シンガポールはスモークに覆われ、太平洋では相次いで台風が発生、ベトナムのコーヒー生豆農家は貯水池の水位低下を懸念し始めている。アフリカではカカオ豆が不作となり、米州のアルゼンチンでは牛乳生産が減少する恐れがある一方で、米カリフォルニア州ではようやく恵みの雨が降ると期待されている。
大型のエルニーニョ現象が再び発生し、その影響が表れ始めている。
影響は世界の大半の地域で出始めているが、北米にはまだほとんど見られない。今回の現象は、記録が残っている1950年以降で最も強いエルニーニョ現象の一つとなる可能性が既に高まっている。年内と来年にかけての気象は予断を許さない状況だ。そして、コロンビア産コーヒー生豆価格や魚類などさまざまなところにその影響が波及しそうだ。
米大気研究センター(NCAR)の科学者、ケビン・トレンバース氏は「大きな混乱と広範囲にわたる干ばつと洪水」を予想。原理上、エルニーニョ現象に対応し準備することは可能だが、「知識が不足していれば、あらゆる種類の混乱が起こるだろう」と指摘する。
簡単に言えば、エルニーニョは、通常太陽によって熱せられる水を西方に押し出す貿易風が弱まり、太平洋赤道域の海面水温が上昇する現象。それに伴って上空の大気が反応する。米国では大気の変化により暴風雨の進路が北から南へ移るため、カリフォルニア州からフロリダ州にかけての地域では降雨量が増える可能性がある。
原題:A Huge El Nino Is Spreading All Kinds of Mayhem Around the World(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ボストン Brian K. Sullivan bsullivan10@bloomberg.net
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更新日時: 2015/10/23 11:26 JST