理化学研究所(理研)は10月23日、多能造血前駆細胞を生体外で増幅させる新しい培養法を開発したと発表した。
同成果は理研統合生命医科学研究センター 融合領域リーダー育成(YCI)プログラムの伊川友活 上級研究員、京都大学再生医科学研究所 再生免疫学教室の河本宏 教授らの共同研究チームによるもので、10月22日付けの米科学誌「Stem Cell Reports」オンライン版に掲載された。
伊川上級研究員らはこれまでの研究で、転写因子E2Aを欠損するとB細胞への分化が初期段階で停止し、B前駆細胞が多能性をもつ造血前駆細胞としての特長を示すことを明らかにしていた。
今回の研究では、E2Aの阻害タンパクであるId3を導入したマウスの造血幹細胞群を、B細胞への分化を誘導する条件下で培養すると、前駆細胞段階で分化が停止し、多能造血前駆細胞が増幅することがわかった。この細胞は約1カ月で1万倍まで増殖し、培養を続ける限り増え続けた。また、この前駆細胞をマウスに移植したところ、リンパ球や顆粒球などの白血球を作り出したほか、同様の方法を用いてヒトの臍帯血の多能造血前駆細胞を増幅することにも成功した。
同研究グループによって「iLS細胞」と名付けられた同細胞は、生体内では増えないため造血幹細胞とは異なるが、体外で無限に増やせる特性を利用すれば、がんに対する免疫細胞療法へ応用できると考えられている。同研究グループは今後、ヒトの造血幹細胞の増幅効果がマウスに比べて低いことや、遺伝子導入のためにレトロウイルスを用いている点などを克服することで、実用化につながることが期待できるとしている。。
脳梗塞で失われた機能を細胞移植によって回復 - 東北大学がラットで成功 [2015/10/6] |
免疫生物研究所、iPS細胞などの培養足場材を安価に生産する方法を確立 [2015/8/31] |
京大、生殖細胞を含む全ての組織・器官に分化するウシiPS細胞を作製 [2015/8/20] |
近大、ヒトES細胞をマウス胚に移植し分化させることに成功 [2015/5/7] |
理研、iPS細胞とES細胞の違いを決める分子を特定 [2015/3/11] |
注目特集 [PR]
まもなく運用スタートのマイナンバーにも対応! 最新ソリューションを紹介
e-文書法対応…税制改正を見据えて早期検討を! 最新ソリューションを紹介
「Interop Tokyo 2015」で気になる企業をマイナビニュースがピックアップ
高機能なデバイスをどのように活用し、業務効率を高めるのか。また、安全面は?
浅い眠りが記憶形成を促進 筑波大、睡眠研究で解明 [20:02 10/23] |
MRJ、初飛行を11月に延期 - 操舵ペダル改修のため [16:37 10/23] |
東京・北の丸公園の科学技術館、来館3000万人を達成 - 記念イベントを開催 [16:28 10/23] |
理研など、白血球を作り出す細胞を無限に増幅させる方法を開発 [15:09 10/23] |
未来のものづくりを体験しよう - オートデスクが表参道で無料イベント開催 [14:05 10/23] |
特別企画 PR
人気記事
一覧イチオシ記事
新着記事
東武鉄道50090系・8000系「フライング東上号」リバイバルカラー車両運行へ [20:03 10/23] 旅行 |
浅い眠りが記憶形成を促進 筑波大、睡眠研究で解明 [20:02 10/23] テクノロジー |
プロに教えてもらいました - ワイシャツの正しいアイロンがけ【仕上げ編】 [20:00 10/23] 生活ノウハウ |
黒田官兵衛や本多忠勝など名将の愛刀&槍を忠実再現、「侍箸」9種が新登場 [20:00 10/23] ホビー |
お前はもう後戻りできなくなる!仮面ライダー龍騎サバイブ&ドラグランザーFiguarts化 [20:00 10/23] ホビー |
特別企画 PR