[PR]

 傾いた横浜市の大型マンションで杭打ちデータを偽装した旭化成建材の現場責任者は、東海3県で全国の8割の34の物件に関わった。だが、そう発表した同社はどの物件かを公表していない。発表から一夜明けた23日もマンション関連業者に問い合わせが続き、自治体は情報を求め動き始めた。

■マンション住民に不安の声

 「うちのマンションには旭化成建材が関わっているのか」。建設関連の相談事業などを手がけるハタコンサルタント(名古屋市中村区)には23日午前、そんな電話が4、5件あった。

 今月中旬に横浜市で問題が発覚して以降、「マンションにひび割れがあるが大丈夫か」といった問い合わせは、電話やメールで30~40件にのぼる。だが、旭化成建材から具体的な情報は出ない。ハタコンサルタントの降籏達生代表取締役は「情報が不足していて、不安になっている住民が多いようだ」とみる。

 東京に本社を置く不動産会社の名古屋支店の社員は、「今後、分譲マンション購入を検討している人から心配の声が寄せられるのでは」と不安げに語った。今のところ旭化成建材が関わった物件は見つかっていないが、「本社が対応マニュアルをつくるのを待っている段階」という。

■乏しい情報、いら立つ自治体

 住民に向き合う自治体は、乏しい情報にいらだちつつ動き出している。

 現場責任者が関わった41件中、全国最多の23件があると発表された愛知県は23日午前に記者会見をした。

 旭化成建材が過去10年間に杭を打った全国3040件のうち県内には82件とされたが、そこに県有施設1件が含まれていたと発表。現場を確認し、傾きなどの不具合はなかったという。