麻生財務相:今すぐ達成困難、2%物価目標-日銀緩和だけでは (1)
2015/10/23 15:11 JST
(ブルームバーグ):麻生太郎財務相は23日午前の閣議後会見で、日本銀行が掲げている物価上昇率2%の目標は金融緩和だけではすぐには達成困難だとの見通しを明らかにして、背景として原油安や需要不足を示した。
麻生氏は「今すぐ金融緩和だけによって本来の目的に行きにくい状況にある」、「物価上昇を金融でやれる範囲は限られている。今世の中にはお金がないのではなくて需要がないから物価が上がらない」と語った。原油安ついては「経済全体には良いが物価を上げる点からいくと原油価格が半分以下になるのはかなりのものだ。状況として難しい」と述べた。
8月の消費者物価(コアCPI)は2013年4月の異次元緩和導入以降で初めてマイナスに転じた。この中、日銀は金融政策決定会合を30日に開く。16年度前半ごろの2%物価目標については後ずれを検討するとの報道もある。麻生氏は原油安が達成時期に影響を与える考えを示した上で、物価2%目標自体について「今この場で変える必要性はない」と述べた。
30日の会合についてバークレイズ証券の森田京平チーフエコノミストは、9月分の鉱工業生産次第としながら「景気が直面する下方リスクおよび黒田総裁のちゅうちょなく金融政策を調整するという姿勢を踏まえて、追加緩和をメインシナリオとして維持する」と23日付リポートで明らかにした。
物価の基調麻生氏は「黒田東彦日銀総裁も需要が出てくるためには、企業の内部留保が賞与や給与に回り、働く人々の可処分所得が増えることによって消費が増えることを期待する部分がおありになると思う。私もそう思う」と語った。
黒田総裁は7日の記者会見で、賃金上昇への期待や労働需給の引き締まりにより、予想物価上昇率は「長い目でみれば、全体として上昇しているという判断は変える必要はない」と強調。その上で、「物価の基調は着実に高まってきている。コアCPIだけでうんぬんすることはできない」と語っている。
SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは22日付リポートで「黒田総裁のこのところの発言を踏まえると、現時点で追加緩和を促すような材料は特段見当たらない。大義名分はない」と据え置きを予想した。
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更新日時: 2015/10/23 15:11 JST