堀込泰三 - こころ,コミュニケーション,メンタル,モチベーション,仕事術,時間管理 06:00 PM
もう投げ出さない! 目標達成に粘り強く取り組むための6の戦略
Pick the Brain:目標設定は得意だけど、達成するのは苦手という人、多いのでは。
新ビジネスの立ち上げ、外国語の習得、楽器の練習など、私たちは始めることが大好きなのに、最後まで終わらせることはほぼありません。目標を達成できない理由は、何よりもモチベーションと忍耐力の欠如でしょう。
私たちは、避けられない障壁に対する心の準備ができていないまま、楽観主義だけで物事をスタートしてしまいます。マインド・コーチのTony Robbinsが言うように、「何事の成功も、80%は心理学で、20%は力学」なのです。
そこで、もう途中であきらめることがないよう、粘り強くなるための6つの方法をお伝えします。
1. 今の自分よりも大きなビジョンを
すべては、初めの一歩から始まります。
現在の自分よりも大きなビジョンと目標がなければ、困難の初期段階であきらめて、倒れてしまうかもしれません。大きな目標は、自己満足な目標を立てるより、自分を大きく成長させることができます。
たとえば、人生の伴侶との関係を深めるために外国語を学ぶ場合、2人の関係がかかっているので、必然的に粘り強くなれるでしょう。
あるいは、ダイエットをするなら、成功後の自信、楽しさ、幸せを想像したり、周囲の愛すべき人たちへの影響を考えたりすると長く続くでしょう。
自己満足から、誰かに影響を与えるような大きな目標に切り替えることで、その大変さよりも、達成によって得られることに目を向けられるようになるのです。
2. サポートチームを作る
「早く行きたいなら1人で、遠くへ行きたいならみんなで行きなさい」ということわざがあります。
世界のトップパフォーマーたちは、自分のモチベーションと粘り強さを維持するために、かならずサポートチームを持っています。パーソナルコーチ、従業員、アシスタント、指導者、パートナーなど。
さらに重要なのは、自分の目標をすでに達成した人たちの中に身を置くことです。そうすることで、学びのスピードが速まるだけでなく、困難に直面したときの忍耐力や回復力が大きく影響されます。また、明確な目標があり、それを達成できるという確信があるなら、脳が情報を取捨選択する働きに影響を及ぼすこともできるのです。
つまり、それまでとらわれていた疑念や恐怖を捨て、目標達成にエネルギーを集中できるようになります。
3. しなやかマインドセットを持つ
目標達成のために、自分のやり方から外れなければならないことがよくあります。
『「やればできる!」の研究 能力を開花させるマインドセットの力』の著者であるキャロル・ドゥウェックさんは、成功とマインドセットの関係について20年以上研究を続けています。その研究では、個人には2つのタイプのマインドセットがあるとされています。成功に向けた課題を楽しむことができる「しなやかマインドセット」と、生まれ持った知性や才能は変えられないという「こちこちマインドセット」です。ドゥウェックさんは、しなやかマインドセットを持った人は、より幸せな人間関係を築き、組織で成功を収め、困難に対してもかなりの粘り強さを発揮すると結論付けています。
言い換えると、小さな勝利や進歩を祝福していれば、高望みするよりもずっと、自らの継続的な成長を実感できるのです。
4. スケジュールに組み込む
巨万の富を築いた起業家、オリンピック選手、世界的に高名な学者など、成功している人たちは皆、スケジュールをしっかり立てて重要なことに取り組んでいます。
なぜ、ToDoリストではないのでしょう?
研究者のKevin Kruse氏によると、ToDoリストにはいくつかの弱点があるそうです。
- 時間を考慮していない:リストが長くなると、数分でできるものから着手しがちなので、長いものばかりが残る。「iDoneThis」という会社で行われた研究では、ToDoリストの項目のうち、なんと41%が達成されていませんでした!
- 緊急な案件と重要な案件の区別ができない:私たちは、緊急な案件ばかり対応して、重要なものを無視する傾向があります(たとえば、目の前のタスクに追われるあまり、健康診断をおろそかにしてませんか?)。
- ストレスにつながる:心理学で言うところのザイガニック効果(未完のほうが印象に残りやすく、興味を引かれてしまう効果)により、未完了のタスクは強い負担になります。日中はとても忙しく疲れているのに、夜は不眠症に悩まされることになるのも無理はありません。
それよりも、先延ばしにしがちだけど重要なこと(スペイン語の単語の復習、ドラムの練習、少しでも記事を書き進めるなど)をスケジュールに組み込むことが重要です。
スケジュールに入っていない項目を、いつまでも達成できることはないでしょう。
5. 他人に教える
学習した内容を他人に教えたことで、のちのち思い出しやすくなったという経験はありませんか?
他人に何かを教えると、単純に読んだだけの状態よりも、脳が情報を蓄積しやすくなるからです。
このことは、研究でも明らかになっています。
- 授業で覚えているのは5%
- 読書で覚えているのは10%
- 視聴覚で覚えているのは20%
- 実演で見たもので覚えているのは30%
- グループ討議に参加して覚えているのは50%
- 学習後に練習して覚えているのは75%
- 誰かに教える/すぐに使うことで覚えているのは90%
この研究結果は、新しいスキルを習得したいときにとても参考になります。
コミュニケーションスキルを向上したければ、他人がやっているのを見るだけではダメで、学んだことをすぐに実践する必要があります。
外国語を勉強するなら、リスニングやモバイルアプリのような一方通行ではなく、先生や会話のできるパートナーを見つけて、学んだことを練習する必要があります。
根気よく学ぶためには、実際にやってみることが大切なのです。
6. 責任を持つ
ビジネスの会議には遅れないのに、友人との約束には遅れてしまうのはなぜでしょう。それは、前者はクビになる可能性があるからです。
私たち人間は、フレンドリーな状況よりも、結果や責任が伴うときのほうが、積極的に参加しようというモチベーションが高まります。
ある研究によると、ポジティブな結果よりもネガティブな結果のほうが、3倍の影響力を持つそうです。つまり、お金を失うかもしれないというプレッシャーのほうが、パワフルなインセンティブになるのです。
友達に宣言するという方法もあれば、「StickK」のように、具体的な目標を設定するとレフェリーが監視してくれるプログラムもあります。そして、達成できなければチャリティに募金するなどと決めておくといいでしょう。
サポートチームの誰かを巻き込むか、目標を公にすることがポイントです。自分の評判にかかわるという社会的なプレッシャーが、想像以上にあなたを成長させてくれるでしょう。
以上、目標に向けて粘り強く取り組むための6つの戦略をお伝えしました。さあ、スケジュールを確保して、目標達成を目指しましょう!
6 Powerful Ways to Become More Persistent (And Never Quit Again) | Pick the Brain
Sean Kim(訳:堀込泰三)
Photo by Shutterstock.
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- 谷口 貴彦プレジデント社