ドラギ総裁が「強いメッセージ」発信、ユーロ圏守る決意市場に伝える
2015/10/23 08:19 JST
(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁がユーロ圏のために何をしようとしているのかを予想するため、2014年を思い出してみよう。ECBの各委員会に追加措置の準備「作業」を求めたという同年11月の発言は、今年1月の量的緩和(QE)計画発表の前兆だった。
ドラギ総裁は22日、各委に再びさまざまな政策措置を検討するよう要請しことを明らかにした。さらに、政策変更が差し迫っていることを示唆するのにトリシェ前総裁が用いた「警戒」との言葉も口にした。投資家はこれらに反応し、ユーロは急落、ドイツ国債利回りは過去最低を付けた。エコノミストはECBが追加利下げをするのかQEを拡大するのか、あるいは両方を実施するのかと議論を始めた。
ウニクレディトのユーロ圏チーフエコノミスト、マルコ・バリ氏は「QE2がやってくるのは確実だ」と、ECBの資産購入プログラムの拡大を予想した。「ドラギ総裁が為替相場などによる金融環境の引き締まりを懸念している時はいつも、それをうまく市場に伝える」と指摘した。 つまり、ユーロ圏の脆弱(ぜいじゃく)な景気回復が頓挫する恐れがあるとドラギ総裁が認めたということだ。総裁はプラート理事が2週間前に「悲観の浸透」と呼んだものを阻止する意向を明確に示した。
総裁は会見で「全ての金融政策手段の規模、構成、設計を必要に応じて変更できる」と言明した。昨年には金利の下限制約に達したとしていたにもかかわらず、中銀預金金利の追加引き下げを政策委が検討したと認めたことは、ユーロ圏経済を守る決意の最も大胆な表明かもしれない。
ソシエテ・ジェネラルのシニアエコノミスト、アナトリ・アネンコフ氏はドラギ総裁が強いメッセージを送ることを望んだと指摘し、「インフレ目標に関する信頼性の維持がECBにとっていかに重要であるかを示すものだ」と述べた。
原題:Draghi Repeating ECB History Primes Euro Area for Fresh Stimulus(抜粋)
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更新日時: 2015/10/23 08:19 JST