October 19, 2015
■今日のお題・・・・・・・・・・『ジョン・ウイック』(2014年 米&加&中)
(監督:チャド・スタエルスキ&デヴィッド・リーチ 出演:キアヌ・リーヴス ミカエル・ニクヴィスト エイドリアンヌ・パリッキ ウィレム・デフォー他)
米ニューヨーク。裏社会で誰もが知り、誰もが恐れた暗殺者、ジョン・ウイック(キアヌ・リーヴス)は、5年前にヘレン(ブリジット・モイナハン)と出会った事で殺し屋稼業から足を洗い、平穏な生活に喜びを見出していた。しかしそんな幸せな生活もヘレンが病で他界した事で一変し、一人遺されるであろう夫を心配する妻は自分が死んだ後、彼が一匹の子犬を受け取れるよう、贈っていたのだ。傷心の中、子犬のデイジーとの新生活が始まったジョンだが、ニューヨークを支配するロシアン・マフィアのボス、ヴィゴー・タラソフ(ミカエル・ニクヴィスト)の息子、ヨセフ(アルフィー・アレン)にデイジーを含めた残された全てを奪われ、怒りに狂う彼は復讐を開始した・・・
こちらの作品はウォシャウスキー姉弟監督の大ヒットSF映画、『マトリックス』(1999年)他、数々の映画でスタントやスタント・コーディネーターを手掛けて来たチャド・スタエルスキー&デヴィッド・リーチが監督として演出を務められ、脚本はスティーヴ・オースティンとドルフ・ラングレン共演の『マキシマム・ブロウ』(2012年)のデレク・コルスタットが担当して映画化されている。妻が残した子犬を始めとし、全てを奪われてしまった最強の殺し屋、ジョン・ウイックにはキアヌ・リーヴスが扮し、他にもミカエル・ニクヴィスト、アルフィー・アレン、エイドリアンヌ・パリッキ、ディーン・ウィンタース、ウィレム・デフォー等が出演され、続編の製作も決まったサスペンス・アクション。
で、有り難くも拾った画像で銃器ネタ・・・ニューヨークで主にロケされた本作、銃器類はニューヨークを舞台にした作品で多く利用される“The Specialists Ltd ”からレンタルしている。ここって愛おしいジェームズ・グリッケンハウス監督作の『シェイクダウン』(1988年)にて、LARグリズリー・ウインマグにコンペセイターを付けた過去があり、本作の主人公が使用したH&K社製P30Lにも同様のコンペセイターが付けられていて、嘗てを思い出してニヤニヤしてしまった。また劇中の主人公のガン捌きは“ガン・フー”と呼ばれているらしいのだけど、これは一見して亡くなったポール・キャッスルが提唱していた射撃術、C.A.R(Center Axis Relock)を参考にしたであろう事は間違いなく(上のYouTubeを参照)、かの『リベリオン』(2002年)で用いられた、いわゆる“ガン=カタ ”とは似て非なるモノだと考えて頂きたい(ハハハハハ)。
上画像:嘗てジョン・ウイックが封印し、今、復讐の為、掘り出された銃器達(H&KのP30Lとグロック26が2挺ずつ)。
上画像:このP30Lに取り付けられたコンペセイター?マズル・ブレーキがボカァ、中二っぽくって好きだなぁ。
上画像:P30Lに付けられたコンペセイター、エッジが白くなっているので材質はアルミ?(ちょっと曲がっている?)。
上画像:こっちのグロック26も歪んでいるなぁ・・・で、発砲の際、危険な“ガン・フー”での事故を避ける為、フラッシュの少ない火薬を利用して本体を作動させ、フラッシュ自体はCGで後付なのだろうねぇ。まぁ、自分として物真似するなら“ガン=カタ ”一択だ(笑)。
上画像:H&K社製HK416アサルトライフルの米国製コピー、コハリー・アームズ社製CA-415(調子良く動いていた)。
上画像:結構、印象的な扱いをされてた米ケルテック社製ポンプ・アクション式ブルパップ・ショットガン、KSG。他にジョン・ウイックはボルト・アクション式ブルパップ・スナイパーライフルのDTA(デザート・タクティカル・アームズ)ステルス・リーコン・スカウトも使用。
上画像:気鋭のカスタム・メーカー、セイリエント・アームズ社製のカスタム・グロック・ピストルも登場(ティア1)。
上画像:マーカス役のウィレム・デフォーが使用するボルト・アクション式ライフルのルガーM77(あれ、オールウェザーのストックにテイクダウン・モデルなんてあったっけ?)。また彼のキャリーガンはブローニング・ハイパワーのようだ。 下画像:発砲は無かった米サベージ社製の10BAか110BAのボルト・アクション式スナイパーライフル。これ以外も大小関わらず、沢山の銃器が登場しておりますので、詳しく知りたい方はimfdbの該当テキストをチェックして下さいな。
いやぁ、やっと観れたねぇ。それで映画は昨年から待ち侘びていた作品の一本だったりして、久しぶりに梯子をしてまで観てしまったよ。んで、帰りに寄った書店で週刊文春を捲ると平均して星三つ、だったのが驚きなのだけど(笑)、まぁ、良くも悪くもこんなもんかね(ハハハハハ)。思い起こせば昨年、『リベンジ・フォー・ジョリー 愛犬のために撃て!』(2012年)でも犬を殺された主人公が復讐に挑む、と云う話だったんだが、面白い、面白くないだけで云えば自分は『リベンジ・フォー・ジョリー 愛犬のために撃て!』の方が面白かったかなぁ・・・あちらは主役と脚本家を担当したブライアン・ペトソス、そしてチャッド・ハーボルド監督の何とも云えぬ惚けた味わいがあり、あの真面目なのか、不真面目なのかと云う、物語が堪らなく可笑しかった。とは云え、較べる事さえ間違いだと感じさせる極北の復讐劇が毛穴を開かせ、荒ぶるアクションを物語に上手く組み込んだ流麗なスタイル、ドンパチやボディ・アクションを重ねながら雄弁に語って行く。またリアルとかリアルでない事なんかは棚に上げ、殺し屋独特の世界観を持たせたディティールは何とも云えず、時に劇画やビデオ・ゲームを強く想起させるんだけど、ただただカッコ良くクールに追及した製作陣の取捨選択には唸らされるわ、結果、見事な独自色を出す事に成功している。で、俺としては病んだキアヌに『フェイク シティ ある男のルール』(2008年)を思い出したのだが、あの彼の持つ大凡、爽やかとは云えない負のオーラが作品全体に沁み渡り、キアヌ無双を実に冷え冷えと演出したチャド・スタエルスキとデヴィッド・リーチ、続編がどうなるか、決して目を離せやしない。お薦め。