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企業の投資促進策を検討する「官民対話」が始まった。政府が政労使の会合で…
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企業の投資促進策を検討する「官民対話」が始まった。政府が政労使の会合で賃上げを促したのに続く試みだ。安倍首相のほか主要閣僚と主な経済団体のトップらが向き合い「未来への投資」を話し合うという。
会合は、政府からの強い「要請」で幕を開けた。首相は「産業界は今後、一歩踏み込み、投資拡大の具体的見通しを示してほしい」と発言。甘利経済再生相は会合後の会見で「投資に対するコミットメント(関与)が弱ければ、さらなる強い要請をかけていく」と語った。
いらだちは、わからなくはない。企業の収益は過去最高水準にあり、2014年度の経常利益は12年度から16兆円余り増えて65兆円近くに膨らんだ。その間、企業が持つ現金・預金は20兆円強増えて210兆円と、手元に資金がたまっている。製造業の設備の「年齢」はこの20年間に5年延びて16年強(13年)に達したが、大企業の足元の設備投資は12年末から横ばいの水準にとどまる。
だとしても、予算や税制のほか、さまざまな許認可権限を握る政府が民間企業に強く迫って、経営の根幹にかかわる投資計画を出させるかのような振る舞いは尋常ではない。政府は自らの役割を勘違いしてはならない。
会合で示された資料によると、14年度、日本企業による海外企業の合併・買収(M&A)は過去最高を更新して8兆円に及んだ。政府が熱心な企業統治の強化とそれによる株主重視の流れの中で、上場企業による株主への還元(配当と自社株買い)も13兆円近くと過去最高を塗り替えた。
海外での設備投資が活発なことも含め、企業はおカネを使うべきだと判断したところには使っている。言い換えれば、国内で投資しても収益につながりにくいと見ているのだ。
このメッセージを政府は重く受け止めるべきだ。投資が増えないのは、人口が減り、これといった大型の新産業も見当たらず、国民の所得が全体として下がっているという構造的な問題が横たわっているからだろう。
新産業の創出などで国民の所得を高めていくためにどんな施策が効果的か。家計が財布のひもをしめ、少子化が進む一因となっている社会保障のほころびをどう繕っていくのか。
「GDP600兆円」や「50年後も人口1億人を維持」と達成への道筋が見えない目標を声高に唱えつつ、企業に投資を迫っても、抜本的な解決策にはならない。
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