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安保法成立1カ月:乏しい説明 首相「経済優先」シフト

毎日新聞 2015年10月19日 21時45分(最終更新 10月20日 00時45分)

国会前で安保関連法の廃止を訴える人たち=東京都千代田区で2015年10月19日午後6時32分、喜屋武真之介撮影
国会前で安保関連法の廃止を訴える人たち=東京都千代田区で2015年10月19日午後6時32分、喜屋武真之介撮影

 集団的自衛権行使容認を含む安全保障関連法が成立して19日で1カ月がたった。成立直後の9月19日未明に首相は記者団に「粘り強く、丁寧に法案を説明していきたい」と語っていたが、これまではその機会に乏しい。一方で、自民党総裁再選を決めた同月24日の記者会見で「これからも経済最優先だ」と強調。安保で傷ついた内閣支持率も上向きつつあり、安倍政権は来夏の参院選に向け、「1億総活躍」のアピールに躍起だ。

 首相は10月18日にあった海上自衛隊の観艦式での訓示で「国民の命と平和な暮らしを断固守り抜くための法的基盤が、平和安全法制(安保関連法)だ」と強調した。だが、外向けに安保関連法について語ったのは、成立直後の9月19日に日本テレビと産経新聞のインタビューを受けたほか、9月25日の記者会見で「戦争法案、徴兵制になるといった(国会審議での)無責任なレッテル貼りは大変残念だ」と野党批判を展開した程度だ。

 安保関連法成立後に5回開催した首相の記者会見のテーマは環太平洋パートナーシップ協定(TPP)や内閣改造などで、安全保障に関する首相の説明が深まりにくい状況ではあった。

 ただ、毎日新聞が内閣改造に伴い10月7、8両日に実施した世論調査で安保関連法を「評価しない」とする人は57%にも上り、批判的な世論の傾向は変わっていない。それでも首相は事態の打開に向けた動きは見せていない。

 これに対し、野党は、臨時国会を召集し、改めて安保関連法の質疑をするよう求めている。しかし、菅義偉官房長官は19日の記者会見で「まさに臨時国会なので、必要な法案、首相の外交日程を考慮し、与党と相談する中で決定したい」と消極姿勢。国会以外での安保法制についての説明の機会については「必要性や目的を国民に一層、理解してもらえるよう、(政府が)さまざまな機会に説明していきたい。与党でもそれぞれの(議員の)後援会、党の組織で説明していく方向だ」と述べるにとどめた。

 政府・与党内では、既に安保関連法審議の最終局面で「安保の後は経済にシフトする」(首相周辺)と繰り返してきた。自民党の谷垣禎一幹事長は19日、同党衆院議員の会合で「国内のイデオロギー対立が強調されることを与党議員は放置してはいけない。国民共通の目標を作り、日本を暮らしやすい国にする努力をすべき時ではないか」とあいさつ。安保から経済への転換を改めて強く促した。【高本耕太】

◇安保関連法に関する主な日程

2016年

1月   通常国会召集

1〜3月 防衛省が部隊行動基準見直し、訓練計画や政令など制定

     日米物品役務相互提供協定改定案を国会提出

3月末  安保関連法施行

7月  参院選

参院選以降 邦人救出の初訓練を実施。各任務の部隊行動基準見直し終了

    南スーダンPKOで駆けつけ警護の任務を付与

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