【社説】韓国政府は米中二者択一を迫られる状況に備えよ

 米国務省のラッセル次官補は今年6月「韓国も南シナ海問題で声を上げるべきだ」と求めた。ところが、これに対して韓国政府は「中国とASEAN(東南アジア諸国連合)諸国は南シナ海における行動指針を策定し、平和と安定が維持されることを望む」という声明を出すだけで、いわばどっち付かずの立場を取ってきた。もしこの問題で韓国が米国の要請を受け入れ、中国に批判的な態度を取った場合、中国との関係が悪化するのは火を見るよりも明らかだ。つまり今後、米中両国の間で南シナ海問題をめぐる対立がさらに深刻化すれば、韓国は一層厳しい選択を迫られるということだ。さらにこの問題が今後、東シナ海で中国と日本が対立する尖閣諸島の領有権問題や、米中による防空識別圏問題などに飛び火する可能性も考えられるだろう。つまり韓国も米国、中国、日本による勢力争いをあくまで人ごとと考える余裕などないのだ。

 また核開発やミサイル発射で北朝鮮は国連から制裁を受けているが、この問題でも中国が非常にあいまいな態度を取っているため、米国は在韓米軍に「高高度防衛ミサイル(THAAD)」を配備する必要性を以前から指摘してきた。この問題でも中国と米国はやはり厳しく対立しているが、韓国は今すぐ何らかの立場を表明する必要はないにしても、近くどちらの側に付くか決断を迫られるのは間違いない。

 韓国大統領府は今回の朴大統領の訪米について「『中国傾斜論』を払拭(ふっしょく)し、韓国の立場を固めるきっかけになった」などと自画自賛している。しかし中国傾斜論への警戒を緩和することは実は本質的な問題ではない。米国と中国の対立が現実のものとなった場合、韓国がいかなる論理をもってどう行動すべきかをあらためて根本から検討し、国家としての戦略を明確にする必要があるという事実が、今回の朴大統領の米国訪問で突き付けられたのだ。

 韓国は核問題と統一問題のいずれにおいても米国、中国双方と協力していかねばならない。北朝鮮と中国に不信の目を向ける米国、そして北朝鮮を擁護する中国との間でどのような立場を取るべきか。これは韓国が抱える大きな宿題だ。

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