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<清水陥落>(1)2人のOB監督 理想と現実にもがく

(2015/10/19 11:40)

 地元で育った2人のOBが指揮を執った2015年、クラブ史上初のJ2降格が決まった。清水のサッカーを、エスパルスを知り尽くしていたはずだった。理想と現実の「ギャップ」に苦しみ、もがき、敗れた。
 大榎克己前監督は14年7月に就任した。清水東高時代に全国制覇を達成し、清水ではプロ契約第1号選手。現役引退後は清水ユース監督などを務めた。昨季は最終節でJ1残留を決め、2年目の今季こそ、就任会見で語った「自分たちが楽しめなければ、お客さんも楽しくない」を具現化するつもりだった。
 2月の鹿児島キャンプ終盤。昨季からまるで好転しないチームに大榎監督は「(試合の)組み立てができないから仕方ない。考え方を変えれば、サッカーって簡単に思える」と開き直った。最終ラインに長身選手を並べる布陣。カウンター狙いの守備的な戦術を用いた。それでも開幕後から失点を重ね、チームは迷走した。
 8月、辞任した大榎監督の後を継ぎ、田坂和昭監督が就任した。広島県出身で東海大一高(現東海大翔洋高)にサッカー留学した。選手で清水に在籍したのは1シーズンだけだが、06年からコーチとして当時の長谷川健太監督(G大阪監督)を支え、日本代表FW岡崎慎司(レスター)らを育てた。
 監督就任会見で「自分の理想より、勝つサッカーに徹する」と話した。「守備の再構築」を徹底したが、勝利に結びつくことはなかった。ミーティングでは闘争心、チームへの愛着、規律の厳守―。少なくとも自分が現役時代に当たり前だと思っていたことを話していた。
 降格決定から一夜明けた18日、田坂監督は「責任は自分にある。言い訳するつもりはないが、短期間でこの結果に至ったわけではない」と訴えた。

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 サッカー王国という土壌を背景に市民クラブからスタートした清水エスパルス。地域密着、育成型クラブを目指し、日本代表にも多くの選手を送り出してきた。だが、この数年は低迷の一途をたどった。来季、戦いの場を初めてJ2に移すチームに、何が起こっていたのか。

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