阿部
「若者の恋愛事情についてです。」
合原
「こちらは、今年(2015年)内閣府が行った意識調査。
恋人のいない20代から30代の男女に、“恋人が欲しいですか”と聞いたところ、37.6%の人が“ほしくない”と回答。
その最も多かった理由がこちら、“恋愛が面倒”というものでした。」
阿部
「どうして今、若者たちは恋愛に消極的になっているのでしょうか。
その胸の内とは?」
阿部
「若者の恋愛事情についてです。」
合原
「こちらは、今年(2015年)内閣府が行った意識調査。
恋人のいない20代から30代の男女に、“恋人が欲しいですか”と聞いたところ、37.6%の人が“ほしくない”と回答。
その最も多かった理由がこちら、“恋愛が面倒”というものでした。」
阿部
「どうして今、若者たちは恋愛に消極的になっているのでしょうか。
その胸の内とは?」
この企画を担当したディレクターの私は、今年26歳。
ここ数年、恋人がいません。
楽しみは、ちょっとだけ高いビールを飲みながらテレビを見ること。
恋人がほしくないわけではありませんが、これといった努力をするわけでもなく、過ぎていく毎日。
恋愛には消極的だと思われています。
今、こうした若者が少なくないと聞きました。
恋愛に対してどのように向き合っているのか、その本音が知りたいと思い、取材を始めました。
男性
「(恋人が)いたらいいとは思うが、いなかったらいなかったで自分の時間ができたり、そういうメリットがある。」
取材を進めると、恋愛に消極的どころか、“恋人がほしくない”という若者にも数多く出会いました。
男性
「仲良くなるまで持っていくのが面倒。」
男性
「確かに。」
彼らが恋愛を語るキーワードは“面倒”。
恋人を拒むような印象さえ受けました。
男性
「相手のことを考えて行動しないといけないので、ちょっとそれが面倒くさい。
今はそう思っているので(恋人は)いらない。」
若者たちが恋愛を面倒だと言う背景には、何があるのでしょうか。
今回、未婚の男女およそ400人を対象に、恋愛に関するアンケートを行いました。
経済的な理由や仕事の忙しさなど、やむを得ず恋愛から距離を置いているという、さまざまな声が寄せられました。
しかし、その一方で多かったのが…。
“一人で自由な時間を過ごしたいから”“趣味に使う時間がもっとほしい”など、何より自分の時間を優先したいという答え。
回答者の37%を占めました。
京都大学大学院に通う25歳のこちらの男性も、恋愛よりも自分だけの時間を優先したいと考えている1人です。
大学院では研究に追われる毎日。
楽しみは、1人でも遊ぶことができるゲームセンター。
日々の疲れを癒やすひとときです。
男性(25)
「週に2~3回くらい来る。
夜9時か10時くらいに来て、閉店まで遊んでいる。」
男性は小学生時代、両親の離婚を経験しています。
自分が恋愛をして、幸せな時間を過ごすイメージがなかなかわかないといいます。
「鴨川は休日、家族連れとかカップルが多いが、そういうのを見て羨ましいと思わない?」
男性(25)
「それはない。
いつもそんなに一緒にいて、何が楽しいんですかみたいな感じ。」
1日の終わり。
部屋で1人、アニメを見るのが至福の時間です。
男性(25)
「自分の生活に、これ以上、恋人が入る枠がないと言えばいいのか、恋人を作って何かしたいとは思わない。」
本当に女性と過ごすより、1人で過ごす方が楽しいのでしょうか。
私たちはお願いして、女性との出会いの場に参加してもらうことにしました。
月に2回程度行われているイベント。
男性と同じように、ゲームやアニメが好きな若者たちが集まります。
同じ席になったのは、年上の社会人。
女性
「仕事は普通の事務で。」
男性(25)
「ジムですか?」
女性
「そっちじゃないです。
ボケですか、本気ですか。」
男性(25)
「ボケです、もちろん。
一応、京都大学に入っているくらいの学力はあるので。」
楽しい会話が続き、あっという間に3時間がたっていました。
女性
「今日は楽しかったです。
やわらかい話し方で、いい人そうな雰囲気だったので。」
男性(25)
「ツイッターのアカウントでも交換しますか。」
その2週間後。
男性を訪ねると、あれから一度も女性とは連絡を取っていませんでした。
同じ趣味や価値観の人とつながりをもちたいという気持ちはあるものの、研究や趣味など充実した生活を送っている今、特定の女性と時間を共有することはまだ想像できないといいます。
男性(25)
「特定の誰かと、自分のプライベートな空間じゃなくて、1人だけじゃない空間になるわけじゃないですか。
そういうのを共有するのは、自分にとっては少なくとも無理。
自分にとって、男女がずっと仲が良いということがリアルに考えられない。」
合原
「取材にあたった、大阪放送局の小林ディレクターです。」
阿部
「これまでは多くの人が恋愛を成就させるためにあれこれ考えたり、どんなに悩んでもそれを乗り越えようと頑張ってきたと思うんですけど、変わりましたね。
私が20代の頃には、考えられませんでしたが、同世代として取材してみて、どのように感じましたか?」
小林ディレクター
「恋愛が面倒だという話を改めて聞いてみると、同じ世代として、それほど違和感を感じることはありませんでした。
物心ついたときから、インターネットやゲームなど、さまざまな情報や娯楽に囲まれていた世代にとって、以前に比べて恋愛の価値が相対的に低下しているのではと感じました。
さらに取材をしていてよく聞いたのが、『恋愛はコスパ=コストパフォーマンスが悪い』という言葉です。
不景気や就職難を身近に感じてきた若い世代の中には、努力が必ずしも報われないと考えている人も少なくありません。
自分が費やした時間やお金に見合った対価が得られるかということに、敏感になっています。
報われる保証のない恋愛よりも、他の趣味のほうが、より魅力的に見えてしまうのではないかと思いました。」
合原
「今回は男性への取材でしたが、女性はどう思ってるんですか?」
小林ディレクター
「内閣府の調査では、女性も“恋人はほしくない”“恋愛は面倒”と考えている人が少なくないことが分かりました。
この傾向は、男女とも変わりがないようなんです。」
合原
「でも、先ほどイベントでは皆さん楽しそうでしたよね。」
小林ディレクター
「はい。
多くは決して人とのつながりを拒絶しているわけではなくて、趣味や価値観を共有する人間関係は積極的に築こうとしています。
今はSNSなどを介して異性と知りあう機会も多くなっていて、出会いや恋愛に関する情報があふれています。
そうした情報や選択肢が増えれば増えるほど、逆に若者は、恋愛は難しい、面倒だと感じてしまう面もあるようです。
そうした中で、若い世代はどうやって人と深い関わりを持っていくのか、そして、どうやって自分にとって大切な人を見つけていくのか、模索しているのではないかと思いました。」