以前、この記事で書いてた中から「にこたま」読みましたー!
忙しい人でもわかる10秒あらすじ
主人公のあっちゃん(温子)には交際歴9年、同棲5年の恋人コーヘー(晃平)が。
そろそろかなぁと思いつつも結婚のきっかけを掴めない仲良しカップル。
「いつかコーヘーと結婚とかするのかなぁ」なんてぼんやり考えていたある日、コーヘーから衝撃の一言が。
「俺、子供出来た」
あらすじ終わりっ。
「いつかはこの人と結婚するのかなあ」なんてぼんやり付き合っていた長年の恋人から職場の上司を妊娠させてしまったとのカミングアウト。
めっちゃ修羅場!!!
そんでもって恋人めっちゃダメ男やん!!!
表紙とタイトルの柔らかさからは想像できないくらい生々しくて重たい内容。いい意味で裏切られた…。
感想(ネタバレ含む)
読み終わったあとのモヤモヤ感が半端ない。
ラストはあれでよかったのか。もっと他の幸せな道もあっただろうに…と思えて仕方がない。
アラサー未婚カップルの恋愛事情が生々しく描かれていく。不仲なわけでもなくかといって結婚するわけでもなくただダラダラと過ごす生活。
同じジャンル(アラサー女性が主役)東京タラレバ娘は殺傷能力高いと騒がれつつも、割とギャグやファンタジー要素もあるから、緩和されながら読めるんだけどさ
なんだ、この読んだ後のなんともいえない憂鬱感は。タラレバよりももっと重い全然笑えないタイプのやつ。修羅場なのに妙に冷静で淡々と描かれていくところも、鬱になる要因だと思う。
作者が女性なだけあって、心理描写が共感できるシーンが多数あった。女性なら「矛盾してる」とわかっていながらも感情が暴走してしまうあっちゃんに思わず自己投影してしまうはず。
近頃の私の気分は「バイキング」だっけ?
あれみたいで疲れちゃうんだ
ふとした瞬間にスイッチが入って
感情が揺れだしたらもう止まらない
卑屈で嫌味な自分はやだなぁと思いつつも、恋人に嫌味や小言をいってしま
にこたまに出てくる女性達はちょっと恋愛が上手くいってない人が多く描かれる。
長年の彼氏に浮気されるあっちゃん
ワープアの彼氏にプロポーズするも上手くいかないあっちゃん友人
既婚者との恋に落ちるあっちゃん友人
非モテで自分に自信がなく恋愛ができないともよ
恋人でもない男性の子供を妊娠してしまう高野さん
この中で私が一番共感したのはあっちゃんの仕事先の店長ともよだった。
おわああああああ
あかん、わかりすぎる。共感しすぎて赤ベコみたいになってる。
「結婚」というものがぼんやりしてるし、今の時点ではそこに憧れも抱けそうにない。好きな人でも恋人でもなく店長が「一番の味方が欲しい」といった気持ちわかるなぁ…
そういや最近「結婚はしたくないけど、子供は欲しい~」みたいな事いう友達が割とたくさんいて驚かされる。「ん?あなたはテレパシーかなにかで妊娠するつもりなのかな?超魔術?」って。
結婚はしたくないけど、子供がほしい
結婚はしたくないけど、味方がほしい
これって、欲しがってるものは違えど、本質的には一緒。
自分本位でしかなくて、そこに相手の姿や考えはない。
店長は自分を非モテだと認識しているから、恋愛にも期待できない。でも、人並みの幸せは手に入れたいし、一人で戦い抜くにはこの世は厳しすぎる。働く女性だからこそその辛さは十分身に染みていたんだと思う。
「恋人が欲しい」じゃなくて「一番の味方が欲しい」といったセリフの裏には、自分を磨くための努力や傷ついてでも恋愛にぶつかっていく努力はしないけど、辛くなったときに応援してくれる「都合のいい人」が欲しいという気持ちが隠されている気がする。ダメじゃん店長!そもそも自分の事非モテって言ってる人で魅力的な人ってほぼ見たことない。(壮大なブーメラン)
店長みたいな考えだと味方が見つかったとしても、いずれ破綻するのは目に見えまくってる。相手が自分の「一番の味方」であり、自分自身も相手にとっての「一番の味方」にならなきゃいけない。見返りがなかったとしても一生相手のサポーターであり続ける覚悟を決める事。それが結婚っていうことなのかなあとぼんやり考える。
柔らかいイラストに騙されて手に取ったものの、最近読んだアラサー主役の漫画の中でダントツの鬱漫画だった。
でも、男女の気持ちのすれ違いが丁寧に描かれていたり、他者との繋がり方、そして人間の深い欲求である「この世に何かを遺す」という事を真面目に考えさせられるいいマンガでした。
未婚アラサーカップルという意味では、喰う寝るふたり 住むふたりと状況的には似ているのに、全然違ったカップルの姿。こういうカップルが題材にされる辺り、同じ状況の人が多いんだろうか。
絵柄も女性向けの柔らかい感じだけど、ぜひ男性にも読んでほしい。(出来心で浮気するとこんな大変な事になっちゃうよという戒めの意味も込めて)
作品は5巻完結で飽き性の私でもサクっと読めた。
でもプチ鬱になるので、夜に読むのはおすすめしません。メンタルが元気な時に読むといいと思う。
ちなみに、タイトルの「にこたま」には由来があるんですが、これまた予想外な…
これだけジャケ&タイトル詐欺な漫画も珍しい。
破壊力ありつつも、笑わせてくれるタラレバがいくぶんかましに思える…。
自分はフリーターなのに「年収800万円以上の人じゃないと結婚したくないし〜」だの「イケメンがいい〜」っていうからイケメン紹介してあげたら「なんかメールとかあんまりくれないしやだった」「っていうか好みのタイプじゃなかったし」とか言っちゃう理想まみれ女達はタラレバ娘読んで、ぜひぜひ自分を見つめなおして下さい。