ブラック企業の定義にイデオロギーを持ち込めばこうなるのは当然
いや、3年前に、下記「東京電力はどういう理由でブラック企業なのか?」というエントリで述べたことのまさに論理的延長線上のことだと思いますよ。
福島第一原発で放射能汚染を起こした「から」東京電力はブラック企業である、というロジックを認める以上、
靖国神社に幹部全員で参拝する「から」アリさんマークの引越社はブラック企業ではない、というロジックの存在を理論的に否定することはできないはず。
わたくし自身は下で述べるように、現在の日本でブラック企業という言葉は労働関係における「従業員の扱いの悪さ」に着目した言葉として用いるべきであり、それ以外の自分の信仰する特定の思想やイデオロギーを絡ませるべきではないと考えていますし、それゆえアリさんマークの引越社がブラックであるか否かは、ただひとえにその従業員の扱い方によって判断されるべきだと思いますが、
そう思っていない方々、例えば上記東京電力をブラック企業と呼ぶべきだと主張していた方々には、「そのイデオロギーが気にくわない」とは言えても、そのブラック企業という言葉の使い方は間違っているとは言えないはず。
https://twitter.com/Jeanne_otsuru/status/654212215227092992
★至急、拡散、アリさんマークの引越社はブラックではない、
愛国優良企業だ!!
靖国神社に幹部全員で初詣、参拝・・・
(参考)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/post-c8f4.html (東京電力はどういう理由でブラック企業なのか?)
私が理解するところ、今日「ブラック企業」という問題意識は、もっぱらその使用者としての労働者との関係性における歪みに着目したものだと考えてきたのですが、この記述からすると必ずしもそうではないようです。
しかし、こういう意味での「ブラック」さ(そういう用語法があり得ることまでを全否定する気はありませんが)を交えてしまうと、そもそも労働問題に着目した「ブラック企業」を問題にした問題意識そのものがぼやけてしまうのではないかと、いささか鼻白んでしまうところもあります。
実をいえば、少なくともその直接雇用する正社員との関係でいえば、東京電力の労働者の賃金水準を下げろ下げろと、ブラックな要求をしているのは「消費者」の錦の御旗を掲げる側なのであり、そういうブラックな要求の感情的根拠となっているのが上述のような東京電力のブラックさなのであってみれば、この大賞に上述のような理由を持って東京電力をノミネートすること自体が、その企業の労働者の労働条件を引き下げるために使われるというまことにブラックな事態となるわけですが、その皮肉をどこまで意識されているのかな?と。・・・
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