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【本紙前ソウル支局長公判】
弁護側、韓国型民主主義の“特異性”めぐり反論 加藤前支局長「法治国家の名にふさわしい判断を」
これに対し、加藤前支局長は被告人質問で、朴大統領の「噂」を取り上げた朝鮮日報のコラムを読んだ後、「証券会社の顧問や元検事らに会ったりして話を聞いた」と反論した。
また、検察側が誹謗目的の例証として、コラムで使用された日本語の「低俗な」「下品な」「政権の混迷ぶり」「不穏な動き」などを挙げていることについて、弁護側は日韓の文化の違いを強調。この日の最終弁論で、いずれの言葉も韓国の場合と違い、「日本ではよく使用される日常用語に過ぎない」と指摘した。
弁護側は「公益性が認定されれば誹謗目的は否認される」という韓国の判例を紹介。その上で「(加藤前支局長は)大災害が発生した際、国家元首の行動が透明であってこそ、国民から支持を得られるという他山の石として報道した」とその公益性を強調した。
弁護側がこれまでの公判を通じて浮き彫りにしようとしてきたことの1つが韓国型民主主義の特異さだ。弁護側証人として出廷した日米のジャーナリストも、それぞれ米国や日本と比較しながら起訴の不当性を証言してきた。
弁護側証人としても出廷した上智大の田島泰彦教授は裁判所に提出した意見書で、加藤前支局長を在宅起訴した韓国の刑事名誉毀損法の措置について「表現の自由の観点から言えば、廃止が求められるべき立法措置で、存置されてもその使用、援用が控えられなければならない」と強調した。
加藤前支局長も最終意見陳述で裁判所にこう要望し、公判を締めくくった。
「この裁判は国際的に注目されている。言論の自由に対する国際的な常識や韓国国民の良心に立ち、法治国家の名にふさわしい判断を示してほしい」
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