”のどかで小さな町”が騒然……

栃木・LINEママ友いじめ、母親連続自殺の現場で真相を追う

2015年07月22日(水) 05時00分
〈週刊女性8月4日号〉
2015年07月22日(水) 05時00分
〈週刊女性8月4日号〉

 日本全国で、いっこうになくなる気配のないいじめ問題。最近も岩手県で中学生の男子が自殺する事件が起きたばかりだ。そんな中、同じ小学校に通う子どもを持つ母親が、立て続けに首をつるという奇妙な事件が起きていた。

 7月3日の読売新聞の栃木県南版によると、事件があったのは今年4月。栃木県佐野市にある小学校で、いじめを受けていた児童2人の母親が加害児童の母親に抗議に行ったところ、逆にママ友たちの間で孤立し、さらに母親たちからいじめを受けるようになった。その結果、2人は自殺するにいたったという。

 自殺から3か月過ぎて報道されたこの事件。ネット上ではさまざまな意見が飛び交い、情報は錯綜している。

「守ってあげなきゃいけない子どもを残して自殺する親なんて考えられません。残された家族がかわいそうです」

 と同じ小学校の卒業生を持つ母親が語るように、ナゾが多いこの事件。取材してみると、意外な事実が見えてきた。2人の児童が通っていた小学校は総児童数が80人に満たないこぢんまりとした学校だが、最近の地方都市では特別なことではない。

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小学校の周りには学校職員、市役所職員、PTA関係者などによる大がかりな監視員が

「どちらのお子さんも、いじめを受けていたと聞きました。それで、不登校になっていたみたい……」(学区に住む主婦)

 最初に亡くなったA子さんには特別支援学級に通う小4の男子と保育園に通う2人の子どもがいた。

「特別学級内でもいじめがあったようです」と近隣住民。

 次に亡くなったB子さんには中3の男子を筆頭に中1、小5、小3の4人の子どもがおり、小5の子がいじめにあっていたといわれている。

「A子さんとB子さんはいじめていた子どもの母親に抗議したところ、無視されたり、グループ内のLINE(ライン)で陰口を書かれたりしたようです」(近隣住民)

 母親グループ内での孤立、LINEによる執拗な中傷と叱責。いじめが2人を死に追いやったのなら、これは看過できる問題ではないが、どこまでが真実なのか……。

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記者(写真左)をマークする監視員。記者の真後ろにピッタリつくことも

 学校関係者によると、A子さんとB子さんは普段から仲がよく、2人とも心の病気を抱え、通院していたという。

「A子さんは養育と家族に関して、B子さんは同じく養育とご自身についての悩みをずっと抱えていたと聞いています」(教育委員会関係者)

 また、B子さんの近所に住む女性によると、

「B子さんの一番上の子は、理由があって小さいころに施設に預けていたそうです。こちらに引っ越してきたときに引き取ったんですが、長い間離れていたので、親としてどう接していいかわからないと、ずいぶん悩んでいました」

 別の近隣住民は、

「B子さんは明るくて人なつこい人でしたが、昼間は外に出ることが少なく、"昔は自傷行為をしていた"なんて話も……。精神的にちょっと不安定なのかなと思いました」

 一方、2人を追い詰めたとするママ友たちの評判はどうか。母親グループの中心人物とされている女性について、その女性のかつての同級生は、「相手の気持ちも考えずに、ずけずけとモノを言う人。言葉も荒くて、高圧的だから近所でも避けられてるよ」という。

 複数の周辺住民によると、口が悪い、自信過剰など評判はよくないが、加害者という確固たる証拠はない。はたして彼女と亡くなった2人との間に本当に壮絶なLINEのやりとりがあったのだろうか。

 B子さんの夫に話を聞くと、

「何もお話しすることはありません……」と憔悴しきった表情でポツリ。

「ご主人は、葬儀のときは、"訴えてやる"という勢いで怒っていたけど今はそれどころじゃないんだよ。4人の子どもたちと今後どうしたらいいか、誰だって途方に暮れますよ」(同じ小学校に子どもがいる主婦)

 地区の教育委員会によると、

「母親グループ内のLINEのやりとりでトラブルがあったことは学校から報告が入っていますが、内容については把握しておりません。報道された児童のいじめに関しても亡くなったおふたりの子どもさんに対するいじめではありませんでした」

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 どんな内容のLINEだったかは定かではない。普段ならやり過ごせる言葉でも、精神的に不安定な状態のときに投げられた言葉が彼女たちの心をえぐり、また拠り所となっていた友人を亡くしたB子さんが後を追った可能性も否定できない。

 ただB子さんについては、子どもを預けるなどしていた隣家の奥さんとも仲がよく、悩みを打ち明けていたというから、A子さんの自殺で相談する人がいなくなったわけでもなく、疑問は残る。

 真相がはっきりしないこともあり、普段は平和なこの町が、夏祭りも中止になるほど騒然となっている。学校や教育委員会は、遺族が心身疲れ果てていることを受け、住民に対し、取材に協力しないよう促すなど、報道を規制しようと躍起になっている。

 住民が本当に望んでいるのはそんなことではない。母親の1人がこうつぶやいた。

「小さい町だから小学校1年から6年までクラスが一緒。簡単に引っ越すこともできない。追いつめられても逃げ場がないんです」

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