パキスタン地震10年:復興遠く テロ多発 細る援助

 【バラコット(パキスタン北部)で金子淳】2005年のパキスタン地震から今月で10年を迎えたが、被災地では今も仮設の住宅や商店が目立つなど、復興は遅れている。理由の一つが治安の悪化だ。パキスタンでは国際援助団体を狙った事件が多発し、資金援助も先細っている。「テロのせいで生活は安定しない」。被災地では、住民の多くが地震とテロの二重苦を口にした。

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 「恐ろしかった。今も誰がやったのか分からない」。北西部で暮らす20代の男性が電話取材に声を潜めた。男性はかつて国際NGO(非政府組織)で被災地の子供を支援していた。だが、約5年前の朝、事務所で武装集団に襲われた。被災地などでは07年ごろからNGOを狙ったテロ事件が多発していた。

 インドのシンクタンクのまとめでは、パキスタン全土のテロによる民間人の死者は、05年に430人だったが、12〜13年は3000人を超えた。今年も760人以上が死亡している。

 元NGOスタッフ、ムハンマド・ファルークさん(42)は「テロで支援者が視察に来なくなり、資金援助が減った。物流も滞り、被災者は物価の上昇にも苦しめられた」と語る。

 最大規模の被害があった北部バラコット。町は断層上にあるため、政府は約20キロ離れた場所へ町ごと移転させる計画を立てたが「新バラコット」の用地取得は進んでいない。

 「テロがあるたびに仕入れや客足に影響が出る」。仮設店舗で靴屋を営むニール・ザマーンさん(48)は、地震で娘3人を失った。今の店舗を借りたのは2年前。既に多くの友人は町を去った。「金さえあれば、どこか別の場所へ移住したい」

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