「大迫と清武はトップ下で先発したのに、気が付いたらすっかり別のポジションに」ドイツ・ブンデスリーガ第9節 ケルン-ハノーファー
ここまで8戦4勝とスタートダッシュに成功したケルンと、逆に前節にようやく初勝利を挙げたハノーファーという対照的なチーム同士の試合は、ケルンが終始押し気味に試合を進めて16本のシュートを浴びせるもののハノーファーGKツィーラーの壁を崩せず、逆に前半38分の清武のCKからアンドレアセンが明らかなハンドの誤審でハノーファーに得点が入り、そのまま試合は動かず0-1でアウェイのハノーファーが勝利を飾った。
両チームのフォーメーションは4-2-3-1の完全なマッチアップで、大迫と清武はともにトップ下での先発。ポジションがマッチアップになると力の差があまり無い同士ではホームが優勢になるもので、ハノーファーは前線にソビェフと清武が残るだけで8人が自陣に引いた状態になり、ケルンがそれを攻め崩そうとする展開になる。
が、ケルンの攻撃はヘクターやリセ、ビッテンコートがサイドを突破する場面ぐらいしか可能性が感じられず、大迫が居るバイタルへの縦パスは皆無で、仕方なく大迫はボランチの位置まで下がってボールを受けて左右に捌く仕事しか出来ない。そして後半13分にツォラーが投入されると大迫は4-3-3のインサイドハーフとして完全にポジションチェンジ、前線に飛び出すシーンすら無くなってしまった。
確かにケルンは中盤でボールを収めて捌ける選手がおらず、1トップにはフィジカルとシュート力があるモデストが優先して起用されている現状では、どうしても大迫が下がってゲームメイクをしないと攻撃が回らず、どうにもFWとしては貧乏くじを引かされてしまっている。
そういう意味では清武も同じで、ハノーファーの攻撃はほぼ清武頼みになっており、彼がボールを受けてサイドチェンジやスルーパスを出してからでないとハノーファーにチャンスは生まれないぐらいに依存度が激しいのだが、それでも最近の清武はあまりボランチの位置まで下がる事無く、相手にとって危険なポジションでプレイするという確固たる意志が感じられる。それでもこの試合では後半は3ボランチ気味の位置まで下がって守備をしつつカウンターの起点役としてバランスを取っていたが。
そこまでケルンでの居場所を固めていない大迫にしてみれば、FWとしてのエゴを優先してサブに甘んじるよりも、どんな役割でも出場できれば良いと考えているのかもしれないが、FWのキャリアとして何も積み上がらないのではと危惧してしまう。が、個人的にはそれならそれと割りきって、守備力を高めてボランチとして生まれ変わるものアリなんじゃないかと最近は思いつつある。
香川や本田もそうだが、点が取れる日本人はすぐFWにされる場合が多いのだけど、本質的にはFW向きでない選手も多いように感じる。ハリルホジッチは常々決定力があるFWを探しているんだけど、やはり日本で生まれないものはどうしようもないので、テクニックのある中盤の選手を守備で戦えるように鍛え、全員で守って全員でウヤムヤのうちに攻撃する「ワーワーサッカー」で行くしか無いとずっと思っているんだけどねえ(笑)。
↓よろしければ、応援の2クリックよろしくお願いします。|
サッカー ブログランキングへ |
にほんブログ村 |
2015/10/19 | ドイツ・ブンデスリーガ
関連記事
-
「香川がドルトムントで獲得しつつある”守備的トップ下”というポジション」ドイツ・ブンデスリーガ第9節 マインツ-ドルトムント
昨日は恒例のイベントに朝から出かけていて、帰った頃には疲労困憊、夜は酒...
-
「代表でも先発に宇佐美よりも原口が優先される理由」ドイツ・ブンデスリーガ第8節 ヘルタ・ベルリン-HSV
昨日は湘南対松本山雅の天皇杯を見ようかと再生してみたんだけど、のっけか...
-
「もちろんモダンな戦術だから単純に強いというわけではない」ドイツ・ブンデスリーガ第8節 ハノーファー-ブレーメン
まだ開幕から勝ちがなく最下位に沈んでいるハノーファーは、ホームで現在リ...
-
「殴り合いは武藤の最も得意とするところ」ドイツ・ブンデスリーガ第8節 ダルムシュタット-マインツ
昇格組ながら、強豪シャルケとドルトムントに引き分けての2勝4分け2敗と...
新着記事
-
「香川がドルトムントで獲得しつつある”守備的トップ下”というポジション」ドイツ・ブンデスリーガ第9節 マインツ-ドルトムント
昨日は恒例のイベントに朝から出かけていて、帰った頃には疲労困憊、夜は酒...
-
名古屋の小倉監督就任に見る、Jクラブ首脳の戦術意識に対する欠如
昨晩はとあるイベントの準備で忙しく試合は見られなかったのですが、最近起...
-
「フランスW杯メンバーの監督同士の対決は、意外な戦術のマッチアップに」天皇杯3回戦 アビスパ福岡-町田ゼルビア
井原正巳と相馬直樹という、フランスW杯のメンバーが今度は監督として対決...
-
オランダのユーロ予選敗退で見えた、アウトサイダー躍進の理由、そしてそれに遅れる日本
前回のブラジルW杯で3位に入ったオランダが、ユーロ予選でグループリーグ...