映画98本目は、サンダンス映画祭でのグランプリと観客賞受賞を筆頭に、さまざまな映画賞で旋風を巻き起こした音楽ドラマ。
セッション
を評価します。
ジャズドラムを学ぼうと名門音楽学校に入った青年と、彼にすさまじいスパルタ的指導を行う教師の姿を追い掛けていく。
公開前からジャズ専門家である菊地成孔先生がジャズ音楽家の立場から酷評し映画評論家の町山先生が絶賛し、お互いをディスりあったという事で、何かと盛り上がっていた本作。
映画大好き人間の僕の感想は・・・もう・・・めちゃくちゃ面白い!!こんなに内容が分かりやすく、主人公2人に共感出来ないという作品があっただろうか。
確かに、JAZZを勉強してきた方は、この作品を酷評する事も分かる。鬼教師として名をはせるフレッチャーは、すさまじいスパルタ指導ぶり。「暴言?パワハラ?そんな事、どうだっていいんだよ。険しい壁を乗り越えてこそ、見えてくるものがある。その努力の積み重ねが天才を生むんだ。だから、俺の練習付いてこれない奴は、来なくていいんだよ。」鬼教師、フレッチャーとは、そんな男だ。だからこそ、JAZZを勉強してきた方は、JAZZをスパルタって思ってほしくないという感想も多い。
確かにその感想も分かるけど、JAZZに無知な僕にとっては、そんな事、関係ない。今まで観賞した音楽映画で、これ程、興奮した作品は無い。JAZZを混ぜながら、2人の登場人物の感情を上手に演出している。
鬼教師に必死に付いていこうとするドラムのニーマンの変貌ぶり。練習の鬼となり、次第に自分を見失っていく様は、作品を観ている僕たちをどんどん引き付ける。
ラストの9分19秒間のシーンは、圧巻です。鬼教師フレッチャーは、とある事を理由にニーマンに復讐するのです。それは、大きなJAZZの大会でニーマンには伝えていないJAZZを演奏し赤っ恥をかかせ、二度とJAZZの舞台に上がる事が出来ないように仕向ける事。赤っ恥をかかされたニーマンは、PRIDEを折られ、舞台から去ります。去った後、父親に出迎えられ抱きしめられたニーマンは、何を思ったのか、もう一回、同じ舞台に再び上がり、自ら演奏するのです。演奏する曲は、フレッチャーから徹底的にしごかれた曲。
これは、ニーマンからのフレッチャーに対する挑戦状です。正にJAZZ版半沢直樹状態。「やられたらやり返す。倍返しだ。」と言わんばかりの見事なドラムをニーマンは演奏するのです。
最初は、怒っていたフレッチャーは、だんだんニーマンのドラムに酔いしれていきます。このシーンでのフレッチャーの表情が良い。そして、ドラムを山場を終えると、フレッチャーとニーマンは、互いに笑みを浮かべます。その時、フレッチャーは、ニーマンに対して「Good job」と告げるのです。彼らは、究極の師弟関係を結んだのです。
Whiplash Final Scene - Andrew Neyman's ...
ニーマンが最後、ドラムを演奏している時、ニーマンの父親も見ているのですが、その時の父親の表情がまた良い。「息子があっちの世界に行ってしまった。もう息子は戻ってこない。」という感情が込められているように感じました。
ニーマン役のマイルズテラーですが、ショボ顔だし男前でもないけど、いい味だしてますよ。
特にフレッチャー役のj・k・シモンズの名演技。鬼畜教師振りは圧巻の一言。彼はこの役でアカデミー助演男優賞を受賞しました。彼の演技を観る為だけでも本作は、観る価値があります。
賛否両論ある作品なのは確かですが、僕はこの作品が大好きです。今までにあるようで無かった作品。良く出来ていると思います。皆さんに、是非、観てほしい。
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