3連勝でロッテを破って日本シリーズ進出を決め、祝勝会でチームメートにビールを浴びせるソフトバンク・内川=ヤフオクドームで(三笘真理子撮影)
|
 |
◇パCSファイナルステージ第3戦 ソフトバンク3−1ロッテ
パ・リーグ王者のソフトバンクが16日、2年連続の日本シリーズ進出を決めた。クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第3戦(ヤフオクドーム)でリーグ3位のロッテを3−1で退けて3連勝とし、リーグ優勝による1勝のアドバンテージを加えて突破した。3試合連続決勝打の内川聖一外野手(33)がCSの最優秀選手(MVP)に選ばれた。ソフトバンクは前身の南海、ダイエーを含め、球団初の2年連続日本一を目指す。セの第3戦(神宮)はリーグ優勝のヤクルトが2位の巨人に2−0で勝ち、日本シリーズ進出に王手をかけた。
技術の粋と、気概をバットに詰め込んだ。0−0の3回2死二塁、石川の5球目は外のカーブ。泳ぎ気味になったが内川がつくった一瞬のタメで左前へはじき返した。二塁走者の明石と捕手が交錯する奥で球審の手が広がった。「(明石)健志、ナイスラン!」。ほどなく顔をゆがめた。左手首がじわりと痛んだ。
第1、2戦でV打。不動の4番は1回2死一塁、左手首に死球を受けた。夏前に痛め、テーピングしている箇所でもある。治療して一塁へ。直後の守備では左翼へ向かいかけ、一度ベンチ裏へ引き返した。3回も2球目が胸元への142キロ。「あそこで負けちゃいけないから」。こみ上げる思い。それが、3戦連続V打の正体だった。
CS直前に公言した。「(3番の)柳田がチャンスで歩かされるケースが考えられる。そこで打つか打たないかは大きい」。果たして、第1戦の延長10回、柳田が敬遠気味に歩かされた後にサヨナラ打。有言実行、このCSは走者を得点圏に置き3打数3安打の「打率10割」だった。
シーズン中は4番の重荷に苦しんだ。早いカウントから積極的に打つタイプだったが、迷いが生じた。そのうち打撃を崩し「自分を信用できない」。8年連続の打率3割も逃し、ふがいなさも感じたが「4番で学ばせてもらった経験を無駄にしたくない。思った通りに打たないと損」と気持ちを切り替えたことが功を奏した。
横浜からFAで加入した2011年。プレーオフから数え、ホークスが通算7度目の挑戦で初めて突破したCSで、MVPになった。それから4年。立場を変え、CSで2度のMVPは史上初。工藤監督の腕を引き、孫オーナーは抱きかかえエスコートした。歓喜の輪のド真ん中。自身も5度、舞った。「また監督を胴上げしたいし、僕もまたみんなに胴上げしてもらいたい」。野心的。その意味でも、内川本来の姿に戻った。 (森淳)
この記事を印刷する