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【プロ野球】

金本新監督が大改革へ

2015年10月18日 紙面から

来季の阪神監督就任が決まった金本さん=12日、東京ドームで(棚橋慶太撮影)

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 阪神は17日、球団OBで2003年と05年のリーグ制覇に大きく貢献した金本知憲さん(47)が、次期監督への就任要請を受諾したと発表した。同日午後5時すぎに南信男社長に電話連絡があったという。「アニキ」と呼ばれて人望のあった金本さんにチーム再建が託された。19日に就任記者会見を行う予定。

 金本さんは夕焼け空の広がった故郷広島から電話で南社長に受諾の意思を伝えた。1日の監督要請から計3度の会談を経て、晴れて猛虎の新監督が誕生した。

 金本さんは広島市内での取材に「返事しました」と、いつもより丁寧な口調で答えた。要請を受けて以来「阪神の監督など、指導者経験のない僕には荷が重過ぎます」と、一貫して固辞の姿勢を崩さなかった。身内の反対もあって「断り」に傾いた日もあった。それでも南社長から「このチームを変えたい。覚悟を決めて引き受けてくれませんか」と熱く口説かれ、交渉を重ねる度に心が動いた。2度目の交渉の後、親しい関係者に「南社長の誠意を感じる」と打ち明け、次第に決意が固まっていった。

 「なぜ受けたとか、過去のことはもういいと思う。これからのことを話しましょう」。19日に大阪市内のホテルで就任会見を行う。大挙して集まるであろう報道陣を想像し、そこで阪神の未来について語る、決意表明を予告した。

 3度に及んだ交渉の席で一般論としてチーム再建案を語っていた。なぜ、補強で戦力を整えながら10年間も勝てないのか。なぜ、有望な若手が一流にまで育たないのか。そこに横たわる旧態依然とした体質、人気球団ならではのあしき伝統…。現役時代、球団内に混在する、変革を妨げる諸問題に疑問符をつけながら引退する12年まで過ごしてきた。

 「火中のくりを拾うようなものだよ」。この17日間、何度もそう口にした。金本さんは南社長に「改革」という言葉を伝えたという。名球会入りを果たした実績、連続試合フルイニング出場の世界記録を樹立した責任感は猛虎の生きる教材だ。鉄人と呼ばれた男は引退会見で「いろんな悔いがある」と言った。あれから3年。不屈の闘志を再燃させた金本知憲が、重責を背負い、戦場に帰ってくる。 (吉田風)

 

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