【退団会見一問一答】ソフトB・松中「あっ、僕のポジションはもうないんだ」

2015.9.29 16:05

 ソフトバンク・松中信彦内野手(41)が29日、ヤフオクドームで退団会見を行った。松中は午後2時、会見場に姿をみせた。

 以下、一問一答。

 ソフトB・松中「お忙しいなか、突然お集まりいただきましてありがとうございます。私、松中信彦は、球団から自由契約選手としてもらい、今シーズンでソフトバンクホークスを退団することになりました。ソフトバンク球団には、2005年から10年間、本当に大変お世話になりまして、いい思いも“悪い思い”もさせてもらったんですけど、本当に感謝をしております。また19年間、ダイエーホークスから、球団、選手、そしてスタッフの方々、そしてやっぱりファンのみなさま、九州、そして全国のファンの皆さまには本当に温かいご声援をしていただき、本当に感謝をしております。本当にありがとうございました。ただ、引退じゃないので、これから現役続行という形になりますけど、この先どうなるか分かりませんけど、頑張っていきたいと思います」

 --チームを常勝軍団に導き、ファンの立場では「松中選手がホークスのユニホームを脱ぐ」というショックは計り知れないもの。その決断のきっかけになったことは

 松中「やっぱりあの、今年にかける意気込みというか、オフから必死に『今年はやるんだ』という強い気持ちを持って、工藤新監督の下で、必ず1軍で活躍するんだという思いでオフからやってきたんですけど。オープン戦で結果が出ず、2軍スタートだったんですけども。それでチームも1年間すごい戦いをして優勝しまして、僕も優勝の瞬間にいられなかったことは、僕の19年間で初めての経験だったので、正直悔しい思いもありましたけど。優勝して1軍に上げてもらい、そのときにベンチにいた瞬間に『あっ、僕のポジションはもうないんだ』と。『僕が教えることは全部教えたんだな』と、そういう気持ちになりました」

 --今年は他球団でもたくさんの選手が引退しました。そこで現役続行に至ったのはなぜなのか

 「最後にこうして上げてもらって、7打席か8打席でしたけど。ここ何年かはボールが見えなくなりそうな感じがあったんですけど、今年に限っては『ボールは見える』と。体が元気だから続けられるという世界じゃないと思うんですけど、正直、体も元気です。気力もあります。で、もっと打ちたい、もっとこうしたら打てるんじゃないかなという自分がいる限りは、やっぱりここで引退して後悔するよりは、ボロボロになるまで野球を続けた方が後悔しないんじゃないかな、ということで決断しました」

 --王会長、工藤監督へのお話は

 「会長は今、ちょっと忙しいので、またきょうお話をさせてもらいますけど、きのう電話でお話しまして。『マツが決断したんだから、それはそれでいい』ということを言ってもらいましたし、工藤監督には『そうか』と。『僕も4球団渡り歩いていろんな野球を見てきた。お前にはものすごくプラスになることがたくさんあるし、もし他の球団でプレーすることがあれば、今後の野球人生にプラスになるから頑張りなさい』と言ってもらいました」

 --ご家族にはどう伝えたのか

 「子供たちは、長男は中学2年なのである程度は覚悟していたみたいなんですけど。次男三男は、特に次男は『野球やめないで』と言っていました。ただ、まだちゃんとは報告していないですけど、嫁にはちゃんと報告したら『パパの好きなようにやりなさい』と。『納得するまでやりなさい』ということは言われました」

 --1軍に昇格し、札幌で千葉で、ヤフオクドームでものすごい声援を受けた。このタイミングでの発表は、ファンに松中選手なりの報告をしたいという気持ちがあったのか

 「そうですね、19年間本当に、たくさんの声援をいただいて、パワーをもらいましたので、やっぱり最後のホークスのユニホームを1人でも多くの方に見て頂きたいと、そう思ったので、なるべく早く、本当は終わってからだったら本当に申し訳ないと思ったので、このタイミングで発表させていただきました」

 --きのう、きょうとアーリーワークで松田選手と楽しそうにロングティーをしていた。後輩に何かを託すようなシーンだと拝見していたが

 「松田が入団してから、本当に彼とは自主トレも一緒でしたし、口酸っぱくずっと言ってきたんですけど、やっぱり彼が本当にチームリーダーになったのかなと。改めて、今回1軍のベンチに行ったときにすごく感じましたので。まあ、本当に一人前になったと、すごい選手になったなあと思いながら、最後もきょうもあしたもあさってもアーリーワークをやるんですけど、最後の飛距離の競争をして、バトンタッチをしたいなとは思っています」

 --後輩達にはこのあとどう伝えるのか

 「そうですね、まあやめる訳ではないので。あと1日(ヤフオクドーム今季最終戦)まできょう入れたら3試合ですけど、みんなと仲良く、楽しく。仲良くはダメですけど、楽しく、一緒に勝ちたい、そういう気持ちで臨みたいですし、逆に変な気を遣わせないようにしたいです」

 --ファンの方は、当然「ここで終わってくれないか」という声もある

 「僕も、入団するときは逆指名でホークスを選んで、最後はホークスで終わりたいというそういう気持ちはありましたけど、やっぱりそれ以上に野球がしたい。やっぱり悔いのないような野球人生を送りたいと、そういうのが一番強かったので、本当にファンの皆さんには申し訳ないっていう気持ちもありますけど、少しでも可能性があるのであれば、やっぱり現役にこだわって、もう一回復活する姿をファンの皆さんに見せたいと思います」

 --この先について決まっていることは

 「全然、白紙です。今回決まったことが急だったので、これからのことはまだ全然決まっていません」

 --それでも現役にこだわった

 「はい。もうボロボロになるまで、自分が納得するまでやりたいと思います」

 --チームはこれからクライマックスシリーズ、日本シリーズへ向かっていく。チームに残したものもある

 「残したものというか、僕が常に思うのは、これだけ強くなったのは、やっぱり王会長だと思います。王会長が、小久保さん、僕、城島、井口、その選手たちを育て、常勝軍団を作ったと思います。やっぱり後輩達には、この常勝軍団を絶対に継続して、伝統として『王野球』というのを継続していってほしい、それだけです」

 --本当ならここで終わりたかった…

 「そうですね、まあ…それもないと言えば嘘ですけど。これから先を期待して、自分に期待して、何とか現役でいられるように頑張りたいと思います」

 --最後にファンへメッセージを

 「本当に19年間、いいときも悪いときも、本当にたくさんの応援をしていただき、ありがとうございました。ホークスのユニホームは脱ぎますけども、可能性がある限り、現役を目指して、ボロボロになるまで頑張りたいと思いますので、また温かい声援をよろしくお願いします」

 --今後は例えば、NPB以外の海外も検討するのか

 「全く白紙です。わからないです。今回決断したのがここ1日、2日なので。これから考えると思います」

 --ホークスでの19年で印象に残っている試合、プレーは

 「本当にたくさん、19年間、ダイエー、ソフトバンクでやらせてもらって。そうですね…。2003年の優勝したときは1番の思い出というか、小久保さんがけがをされて、初めての選手会長で、すごい重圧の中で戦って、優勝できて日本一になって、それはすごく僕の中では成長させてもらったシーズンでした。打撃というか打席の中では、正直2つありまして。1つはみなさんご存じの、(松坂)大輔から打った3本の本塁打の試合と、やっぱり2004年から苦しんだポストシーズンの、あの(悔しさを)晴らせた代打の本塁打が僕の中では印象に残ってます」

 --1軍昇格後の、1週間での心の移り変わりは

 「まあ、1軍に上がって、1軍の投手と対戦して、本当にボールがすごく速く感じたり、ボールが見えなかったりとか、『これはダメだな』という気持ちがあれば多分引退したと思います。ただ、この1週間、対戦した中で、1軍と2軍の投手の違いはもちろんですけど。この何年かの投手の球自体の、昔と違う攻め方というか、真っすぐがあり、ツーシームがありっていう、縦の変化の体験がすごくあったので、『今までの打ち方と違う打ち方で打たないといけないんだな』というのをすごく感じて、それをやっぱり自分自身で『もうちょっとこうしたらチャンスが出て来るんじゃないか』というのが、すごく自分の中で芽生えてきたので。そういう気持ちがもし出てきたんだったら、チャンスがあればそのまま現役で続けてもいいんじゃないかなと、そういう気持ちに変わって行きましたね」

 --自分1人ですべて決断したのか

 「いや、やっぱり正直、妻とは常に話をしながら、いろんなことを話をしながら過ごしてきましたし、本当にいろいろ相談に乗ってくれましたし、最後は自分で決めるように言われていたので、それがたまたま優勝が決まって1軍に上がって、すごい自分の本当の気持ちを確認することができたので、そこで自分で決断しました」

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