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腎臓がんに打ち克った「小西博之」の後半生
 萩本欽一さん率いる「欽ちゃんファミリー」の一員で、ドラマや映画に出演してきた「コニタン」こと、俳優の小西博之さん(56)は、10年前に腎臓がんの手術を受けた。

「日本では2人に1人はがんにかかっていますし、3人に1人はがんで亡くなっている。がんを甘く見てはいけませんが、生き残る人だってもちろんいる。僕は5年生存率2%以下という末期がんだったけど、いま、こうして元気なんですよ」

 こう話す彼の顔は浅黒く健康そのもの。目下、キックボクシングのジムに通うなど、大病を患った面影はない。


「コニタン」こと、俳優の小西博之さん

 小西さんが異変に気付いたきっかけは血尿。04年12月、45歳のときである。

 ただ、その前年から兆候はあった。ダイエットもしていないのに月に1キロ近く体重が減ってゆき、90キロあったものが70キロ台にまで落ちた。そればかりか、足のサイズも28センチが26・5センチに。食欲、性欲、睡眠欲すべてが減退した。

「どうしたものかと思っていた矢先の血尿でした」

 超音波(エコー)検査の画像を見た医師の顔が引きつった。「大学病院で精密検査を受けて欲しい」と渡された紹介状は異様に分厚かった。

「がんに違いない!」

 帰宅後、自室で大暴れした。泣き叫び、手近にあるものを投げ、蹴り、壊した。5時間ほどひとしきり荒れたあと、我に返ったとき頭に浮かんだのは、大学時代の恩師による〈夢を実現させたければ、具体的に、楽しいことを思い描くんだ〉という言葉。さらに、〈人生はイメージしたとおりになる〉という、師匠・萩本さんのアドバイスだった。

 そのころ小西さんは、学生相手の講演会にしばしば呼ばれ、恩師たちの言葉を引きながら、〈前向きに生きよう〉と繰り返していた。

「人にさんざん言っておいて、それを自分がやらないでどうするんだ! と自分につっこむ気持ちが強かった」

 彼は退院後の目標を定めることにした。そのひとつが、『徹子の部屋』に出ることだ。

「テレビでがんの傷あとを誇らしげに見せている、そんな自分をイメージしたんです」

 検査の結果、縦20センチ、横13センチとかなり大きく、転移の可能性が高い末期がんだとわかった。だが、そういった悪い状態さえも、話のネタになると喜ぶ自分がいた。

「体は病気でも、気持ちまで病気になってはいけない」

 という意志のもと、病室を出るときにはパジャマをジャージに、スリッパを運動靴に替えた。気分が明るくなるよと、他の入院患者に勧めたりもした。

「もちろん僕だって、弱い自分をどこかで抑えていたんです。だから、時々“不安なコニタン、出ておいで”と言って泣きました。告知から退院後数週まで3日に1回のペースで。お風呂で1時間ほど泣いたら、疲れてよく眠れるんですよ」

 手術は成功。病理検査の結果、奇跡的に他臓器への転移は認められず、リンパ節は腫れているが、がん細胞は採取されなかった。手術から5カ月後にはイメージ通り、『徹子の部屋』への出演も果たした。

 現在は俳優業のかたわら、「夢は叶う」などをテーマに日本中を講演して回る日々である。

 ***

小西博之
1959年和歌山県生まれ。『欽ちゃんの週刊欽曜日』、『ザ・ベストテン』などで活躍。小学生から大学まで野球漬けだったが、それ以降はラグビーに熱中

「特別読物 がんに打ち克った5人の著名人の後半生」より
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