Rugby World Cup 2015

大会概要

ラグビーワールドカップ2015とは?

 本年9月にイングランドで開幕するラグビーワールドカップ2015は、強豪20か国の代表チームが一堂に会し、世界一の座を争う4年に一度の国際大会だ。1987年に第1回大会が開かれて以来、回を重ねるごとに観客動員や収益の面で規模を拡大しており、今ではサッカーワールドカップ、夏季オリンピックに次いでスポーツでは3番目のスケールを誇るビッグイベントにまで発展している。

 大会はまず5か国ずつ4つのグループに分かれ、総当たりのリーグ戦を行うプールマッチを実施。各グループの上位2チームがノックアウト方式の決勝トーナメントへ進出し、そこを勝ち抜いた国が世界一の称号を手にする。過去7回の開催で優勝トロフィー「ウェッブ・エリス・カップ」を手にした国は、ニュージーランド(1987年、2011年)、オーストラリア(1991年、1999年)、南アフリカ(1995年、2007年)、イングランド(2003年)の4チームだけだ。ちなみに日本は全大会に出場しており、戦績は1勝21敗2分。なお2019年には日本でワールドカップが行われることが決定しており、これはラグビーの主要国であるヨーロッパおよび南半球以外の国で初めて開催される歴史的な大会となる。

みどころ

 今回で8回目の開催を迎えたラグビーワールドカップのホスト国となるのは、ウェッブ・エリス少年がフットボールの試合中にボールを持って走ったことから始まったと言われるラグビーの母国、イングランドだ。世界最大の競技人口(約200万人)を誇り、2003年の第5回ワールドカップで頂点に立ったラグビー大国だけに、これまで以上に熱気に満ちた大会となることはまちがいない。

 世界中のラグビーファンが各国の戦いぶりに注目する中で優勝に最も近い存在と目されているのは、現在世界ランキング1位、前回大会王者のニュージーランドだ。ラグビー界の至宝と言うべき名選手が並ぶ布陣は豪華の一言。ポジションに関係なく誰もが巧みにパスをつなぎ、相手防御を鋭く切り裂くアタックの華麗さと破壊力は群を抜く。試合前に行う先住民族マオリ伝統の迫力満点の戦いの儀式、「ハカ」も必見だ。

 ニュージーランドを脅かす存在と見られるのが、同じ南半球勢のオーストラリアと南アフリカだ。オーストラリアは、8月8日の南半球4か国対抗最終戦でニュージーランドに27−19と勝利するなど、ここにきて調子が急上昇。南アフリカは主軸にケガが重なり南半球4か国対抗は最下位に終わったものの、才能ある若手が数多く台頭しており、地力の高さは疑いようがない。

 2度目の優勝を狙う地元イングランドや、世界ランキング6位のアイルランドをはじめとするヨーロッパ勢も、確かな実力を備えている。ともに強力なフォワードを有し、バックスにも突破力ある選手が揃っているだけに、ホームの大声援を受けて勢いに乗れば頂点に届く可能性は十分。創造性豊かなアタッキングラグビーが魅力のウエールズ、過去3大会で決勝に進出しているフランスも、優勝争いの一翼を担う。オーストラリア、イングランド、ウエールズ、フィジーという実力国が同組に入ったプールAは、今大会最注目の激戦グループと言えるだろう。

 そして忘れてはならないのが日本代表だ。オーストラリア代表の監督として2003年のワールドカップで準優勝を果たした世界的名将、エディー・ジョーンズ氏が2012年にヘッドコーチに就任して以降、日本代表はウエールズとイタリアから初勝利を挙げ、昨年11月には世界ランキングで過去最高の9位に上昇するなど、劇的な進歩を遂げてきた。海外のトップクラブで活躍する選手も続々と現れ、チーム力はまちがいなく過去最高と言える。

 プールBに入った日本代表が9月19日の初戦でぶつかるのは、優勝候補の一角、南アフリカ。同23日にはスコットランドと対戦し、その後10月3日にサモア、同11日にアメリカと激突する。いずれも厳しい試合となることが予想される強敵だが、ジョーンズヘッドコーチが「これほど練習するチームは世界のどこにもない」と言い切るほど過酷なトレーニングを積んできた現在の日本代表なら、きっとどんな相手にも互角以上の戦いを演じてくれるはずだ。

 ここで好成績を残せば、2019年のワールドカップ日本大会へ向けこれ以上ないはずみとなる。15人が一体となってスピーディーに動き続けるアグレッシブな攻撃と突き刺さるような鋭いタックルを武器に、史上初の決勝トーナメント進出を果たしてくれることを期待したい。

※2015年9月7日時点