神奈川県横須賀市沖の相模湾で18日、海上自衛隊の観艦式が開かれる。相模湾は、東京湾に通ずる戦略的な要衝だ。相模湾を制する者が、東京への航路を握る。1853年、米国のマシュー・ペリー提督が4隻の「黒船」を率いてここに現れ、空砲を撃って「門戸を開け」と要求した。当時、激論の末に開国した日本は、ひたすら近代化に邁進し、23年後には朝鮮の江華島に鉄船を送って強制的に朝鮮の門戸を開かせた。
そんな歴史がうねる青い海で、安倍晋三首相は5200トン級の護衛艦「くらま」に乗り、海自が保有する主要艦艇40隻と陸・海・空自が保有する主要航空機約30機が威容を示す様を見守ることになっている。安全保障関連法制の国会通過後、初の観艦式でもある。3年前の観艦式で、米国・オーストラリア・シンガポールが外国海軍として初めて参加したのに続き、今年は米国・オーストラリア・フランス・インド・韓国の5カ国海軍が軍艦を送った。
防衛省は18日の本番に先駆けて、12日と15日の2度にわたり、予行演習を行った。記者や一般人など約1万人に現場公開も行った。取材チームは15日、観閲艦隊を先導する「むらさめ」(4550トン)に乗った。「敬礼を受ける側」の中で、先頭を進む船だ。午前8時30分、「ブーン」というエンジン音と共に、記者の足を支える巨大な鉄の船体はソフトに身を震わせ、港を出た。本番で安倍首相が乗る「くらま」が、「むらさめ」のすぐ後ろを波をかき分け追走した。
沖に出ると、2列になってゆっくりと航行する観閲艦隊の間を、海上自衛隊の艦艇が素早く通過した。「敬礼する側」(受閲部隊)の船の乗組員が甲板に直立不動の姿勢で立ち、観閲艦隊に敬意を表した。角張った肩に、日光が降り注いだ。イージスシステムを搭載した護衛艦「あたご」(7750トン)に続き、甲板にヘリコプターを載せた、全長248メートルの空母級の護衛艦「いずも」(1万9500トン)が通過した。今年3月の就役当時「事実上の航空母艦」という声が聞かれた船だ。さらに「そうりゅう」型潜水艦3隻が、巨大な黒いカメのように浮上したり、潜ったりして「いずも」の後に続いた。