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マンション傾斜:「説明、のらりくらりが一変」揺れる住民

毎日新聞 2015年10月18日 19時11分(最終更新 10月18日 21時01分)

傾きがあることが判明した大型マンション=横浜市都筑区で2015年10月16日、本社ヘリから梅村直承撮影
傾きがあることが判明した大型マンション=横浜市都筑区で2015年10月16日、本社ヘリから梅村直承撮影

 ◇全4棟建て替えに言及に「方針提示が唐突で極端」の声も

 建物を支えるくい打ち工事を巡る二つのデータ偽装が明らかになった横浜市都筑区のマンション。事業主の三井不動産レジデンシャルは初めての住民説明会を開いた9日、是正工事で対応する意向を強くにじませていたが、6日後の15日には大きく方針転換し、全4棟の建て替えに言及した。急展開する対応に、困惑の度を深める住民もいる。

 マンションには幼児サロンやゴルフ同好会があり、夏祭りをするなど住民同士の交流が盛ん。ショッピングモールに隣接する利便性もある。建て替えには3年半ほどかかる見通しが示されており、環境は激変する。特に不正なくい打ちがなかった棟の住民には戸惑う声が多い。43歳の主婦は「一緒くたの建て替えで、突然問題に巻き込まれた感じがする」と明かす。

 当初自分の棟には影響はないと考えていた。全棟建て替えを念頭にした三井側の説明は衝撃だった。長男は4歳で、3年後には小学校入学を迎える。「建て替え後に戻ることになれば、転校させることになるかもしれない。三井側はそうした現実的な負担を分かっているのか」といぶかる。

 ただ、4棟の中で1棟だけ古いまま残ることには抵抗も感じる。仮に将来売却することになれば資産価値への影響も不安だ。「この棟には問題ないだけに、複雑で割り切れない」

 主婦は三井側の説明に問題があると感じている。「方針提示が唐突で極端。企業の危機管理として急ぐ事情は分かるが、もう少し話のもっていき方があったのではないか」

 この問題が報道された14日以降、三井側の説明や対応が変わったとみている住民もいる。報道以前の説明会では「検討する」などのあいまいな説明が多く、「(くいの)是正工事をすれば賠償の対象にはならない」とも言っていたという。ところが報道後、建て替え▽工事、精神的負担への補償▽仮住まいの費用負担−−などが「基本方針」として打ち出された。

 32歳の主婦は、三井側の提案を評価する一方で「賠償や補償の基準や目安も示されず、対応も個別と言われた。引っ越しになるとこまごました経費がたくさんかかってくるが、『これは該当しない』などと拒まれてしまうのではないか」と不安をぬぐえない。

 この主婦は10日の説明会から出席したが、担当者の説明はのらりくらりといった調子だったとの印象をもっている。それが報道直後に一変した。「何にせよ負担は必ず強いられる。誠心誠意対応すると言っているが、本当にその通りにやってもらわないと困る」と提案を信じ切れない様子だった。【高橋隆輔】

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