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 広島・長崎への原爆投下から70年を迎えた今年、日本初の本格的な軍縮辞典が完成し、刊行された。日本軍縮学会の会員ら124人が執筆し、核軍縮から通常兵器に関するものまで820の語彙(ごい)を収録。国際情勢が複雑に絡む軍縮問題について、「より多くの人に共通の理解を広げたい」との思いが込められている。

 2009年に設立された日本軍縮学会が新たな企画として軍縮辞典の刊行を提案した。「核軍縮」「核不拡散」「生物・化学兵器」「ミサイル・宇宙」「通常兵器」「輸出管理」の6部会を設け、計7回の編纂(へんさん)委員会を開いて2年がかりで作業を進めた。

 国際社会で「核兵器の非人道性」に焦点をあてた核軍縮の新しい流れが生まれている現状を受け、「核軍縮の人道的アプローチ」や「核兵器の人道的結末」などの項目を充実させた。原子力分野や無人飛行機(ドローン)なども取り上げ、各用語には英語訳をつけている。

 日本軍縮学会の初代会長で、編纂委員会の委員長を務めた黒澤満・大阪女学院大学教授(70)は「日本の専門家の総力を挙げた集大成。軍縮に関する正確な情報を一般の人にも広く知ってもらい、共通の理解の下で議論がいっそう活発になることを願っています」と話す。軍縮辞典を発行したのは信山社。531ページで、5400円(税込み)。(核と人類取材センター・副島英樹)