モノにフォーカスしてシンプルな暮らしを考えるとき、思い出す過去のエピソードがあります。
田舎で生まれ育った私も、高校生になると都会に遠距離通学するようになり、オシャレに興味を持つようになりました。かといって、バイトをしていたわけでもないので好きなように買い物ができるわけでもなく、雑誌を見てファッションやメイクを研究したり、ウィンドウショッピングを楽しんだりしていました。
そんな私にとって憧れだったのは、香水をつけること。自分の香りを持つ。なんて大人なんだろうと思っていました。
そして、高校3年生のとき、人生で初めて香水を買いました。当時発売されて間もなかったグッチのエンヴィです。
一番小さい瓶でしたが、数千円は当時の私には手が出ない値段だったので、実は友だちと半分こ。購入した後、百貨店の階段の踊り場で、前もって買っていた別の瓶に半分移して分けました。これ、意外と大変でした笑。 そして、紙袋、包装紙、瓶も公平にジャンケンで分割しました。
どれを買うかを友だちと相談しながら散々悩んで、どきどきしながら初めて高級ブランド店で買い物をして、手に入れた後もつけるどころか見るだけでときめいて。それが、私の初めての香水にまつわる思い出です。
そして、今は買おうと思えば香水なんてすぐにでも買えてしまいますし、大人になって実際に何本か購入しました。香水だけではなく、他のモノも同じです。ですが、初めて香水を買ったときのような幸せな気持ちは、逆にどんどん手に入れるのが難しくなっているような気がします。
何かが安易に手に入るということは、それを待ちわびる幸せやときめきを失うということ。何かが2倍、3倍たくさん手に入るということは、それに対する愛情や思い出が2分割、3分割されてしまうということ。そして、そうやってモノとの関係が薄くなれば、別のモノにまた心が奪われる。エンドレスな物欲は、こうして湧き上がってくるのかもしれません。
幸せはモノの量で決まるのではなく、逆にモノは本来幸せを奪うものでもありません。少ないモノと密な関係を育む。それが私の目指す小さな暮らしの形です。
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