台北=鵜飼啓
2015年10月18日01時01分
台湾の与党、国民党は17日、臨時の党代表大会を開き、来年1月の総統選公認候補だった洪秀柱(ホンシウチュー)・立法院副院長(67)の公認を取り消し、新たに朱立倫(チューリールン)・党主席(54)を公認した。洪氏の支持率が低迷していたためで、同党がいったん選んだ総統候補をすげ替えるのは初めて。選挙の構図が一変するが、混乱による打撃の影響も大きそうだ。
大会では、洪氏の公認取り消しが挙手で採択されたあと、中央常務委員会が朱氏の公認候補指名を提案し、起立と拍手で承認された。指名を受諾した朱氏は洪氏の公認取り消しを「やむを得ない決定だった」とし、党の団結と再出発を呼びかけた。一方、洪氏は決定前、「取り消し手続きに疑義があり、認められないが、党員として受け入れざるを得ない」と述べた。
朱氏は経済学者出身で立法委員(国会議員)や桃園県長(知事)を歴任、2010年から直轄市の新北市長を務めている。早くから党内で次世代指導者と目され、総統選の予備選段階でも待望論が強かったが、昨年11月に市長に再選されたことを理由に固辞していた。
国民党内では、今回の決定で地方組織が活性化するとの期待感が強い。洪氏の低迷を見て立候補を表明した親民党の宋楚瑜(ソンチューユイ)主席(73)の動向にも影響を与えそうだ。ただ、洪氏支持者が反発しているほか、台湾メディアは朱氏が市長を休職して総統選に臨む見通しを伝えており、「覚悟が足りない」との批判もある。
国民党は、昨年3月に学生らが立法院(国会)議場を占拠したひまわり学生運動のあおりで党勢の低迷が続く。こうした中、有力者が軒並み予備選への立候補を見送り、洪氏が唯一立候補。知名度が低く本命視されていなかったが、公認に必要な条件を満たし、7月に正式に公認されていた。
残り:479文字/全文:1231文字
おすすめコンテンツ
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞国際報道部
PR比べてお得!