広がる不安と不信、自分のマンションは大丈夫か?
旭化成建材の担当者が、マンションの基礎工事で杭の到達記録を偽装し、施工不良を故意に隠ぺいしたことについて、前田社長が聴き取り調査の結果を明かした。
その原因とは、スイッチの入れ忘れ、データの取り忘れ、記録紙が濡れた汚れたなど。
また、今月中に旭化成は旭化成建材がくい打ち施工したデータがある約3000棟を調べ所在地などの概要を公表する方針である。
どうも千日です。こんなニュースを見ると不安になりますね。
旭化成建材だけではないんじゃ…?
これは、多くのマンションに住む人達の不安だと思います。実際、千日自身も不安ですもんね。一流と言われる三井不動産ですら施工不良が発生するんです。
自分のマンションなんて…そんなブランドマンションじゃない。
もうどこの施工でも安心出来ない…
じゃあ
どうやって自分の財産を守ればいいのか?
その鍵はこの事件の中にあります。
それは、このパークシティLaLa横浜に住んでいる人達です。
- 住民の方々の観察眼と良心
- 管理組合のレベルの高さ
このポイントは誰もがあんまり注目しないんですが、凄いんですよ!
マンション共用部の手すりなんて意識して見ますか?
まず発端は住人の一人がマンションの西棟と中央棟を結ぶ渡り廊下の手すりが約2センチ、西棟側が沈んでいることを三井不動産レジデンシャルに問い合わせたことからでしたね。
約2cm下がった渡り廊下の手すり
(写真は横浜建築局が公表したもの)
普通に生活していて、こんな違いに気付きます?
マンションの完成は2007年ですから約7年で2㎝沈んだ訳です。
- 1年で約3㎜
- 1日で約0.008㎜
大陸が移動するスピードは1日0.1㎜位と言われてます。当然これを体感するなんてことはありません。
毎日の生活で傾きを意識するなんてないですし、日々の生活で手すりになんてまず注目しません。
この変化は、『下がってるよ』と言われて、写真のように垂直なモノを当ててはじめて分かるような異変なんですよ。
この住民の方が『下がってる』ことに、気付き、声に出さなければこの問題が明らかになるのはさらに数年遅れたはずです。
この方が声を上げたのが2014年11月です。『東日本大震災が原因デス』なんて言って逃げようとする三井不動産レジデンシャルを追及し続け、ここまで漕ぎ付けるのに約1年を要しているんです。
異変に早く気付き、声を上げた
瑕疵担保責任の有効期間は完成引渡しから10年、瑕疵に気付いてから1年です。
前回の記事に詳しく書いてます。
- あと少し遅ければ三井サイドに逃げ切られていたかもしれません。
- 信用の為に補償するとしても、その補償は今のものよりも薄いものだったかもしれません。
この功績は大きいです。
なぜ、この微細な異変に気付けたか?
このような極めて小さな異変に気付けた要因は、2つあると思います。
- 共用部分に対する関心
- 行き届いた清掃と整理整頓
まず共用部分に関心が高くなければ気付かないでしょうね。ドアの内側の専有部分だけが自分のモノという意識では絶対にそこに気付けません。
なんか変だな…気のせいか?で、オシマイです。
共用部分の廊下にゴミが落ちていても拾わず、またいで歩くような人もこの異変には気付かないでしょう。
また、共用部分の廊下に自転車やベビーカーを置いたり私物の物置きにしているようなマンションでは見た感じが雑然としてますから、こういった違和感はカモフラージュされてしまうでしょう。
- 住人の共用部分への意識の高さ
- 管理組合のレベルの高さ
これらがこの異変に気付く為には無くてはならない要素だったと言えます。
自分さえ良ければいいとは思わなかった
想像してください。
もしも、自分だけがこの異変に気付いたら
これが明るみになれば自分のマンションの価値は地に落ちます。
まだ、知られていない今のうちなら売り抜けられるこういうことは絶対に考えないと言い切れるしょうか?
もしも売った後に買った人から文句を言われても…
ここまでの欠陥とは思わなかった!お気の毒に…でも渡り廊下が下がってる位なら安全面には問題ないよ。タブンね。
こんな、どこかの建築会社のような言い訳を考えてしまうんじゃないでしょうか?
今残っている住民=管理組合はこういう人達ではなかったということです。三井不動産レジデンシャルではラチがあかないと判断し、2015年8月に横浜市建築局が調査して明るみになったのです。
横浜市=役所が調査するということは、管理組合として調査を依頼したということでは?と推察します。
- 明るみにせず、密かに売り抜ける
- 原因を究明し、責任を追及する
後者を選んだということです。住民の方々のその判断に敬意を表します。
まとめと結論
いかがでしょうか。今回のケースでは三井不動産レジデンシャルの社長は住民に謝罪し、以下の条件を提示しています。
- 全棟の建替えを基本的枠組みとする
- 代替住居の費用を全額補償する
- 精神的損害も補償する
この通り行われるなら、契約解除するより良い条件だと思いますね。
- 瑕疵担保責任の有効な間に微かな異変に気付いた
- 臆せず声を上げた
- 最後まで原因を追及した
これを可能にしたのは住人一人一人の意識の高さと優れた管理組合というコミュニティーのレベルの高さです。
もうどこの施工も信じられないな…漠然と不安だけを感じる前に、やるべきこと、出来ることがあります。
- とりあえず、手すりを見にいく
- 共用部のゴミは跨がない=拾う
- 管理組合の総会に出席する
最後まで読んでいただきありがとうございます。
以上、千日のブログでした。
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