ドイツ銀行を巡る暗い噂。ドイツ発の世界恐慌の可能性も!?

photo by Gizmo23(CC BY-SA 3.0)

 ドイツの存在なくして欧州共同体もユーロ通貨も誕生していないであろう。しかし、今そのドイツが深刻な金融危機に陥る可能性があるという。

 ドイツ最大の銀行であるドイツ銀行(Deutsche Bank)の行方に強い懸念がもたれているのだ。

 スペインのWebメディア「mil21」によれば、ドイツ銀行の〈金融取引総額は67兆ユーロ(8710兆円)〉と言われている。それは〈ドイツGDPの20倍に匹敵する〉という。仮に、同銀行が破綻すると、ドイツだけではその負債を賄うことは出来ない膨大な負債となる。2008年に破綻したリーマン・ブラザーズが及ぼした世界金融・経済危機を遥かに上回る事態になることは間違いない。

 ドイツ銀行の経営難が表面化したのは昨年からである。この1年半の間に〈株価は45ユーロ(5850円)から26ユーロ(3380円)に下落〉している。同銀行グループで〈23,000人の人員削減が実施〉された。そして、10月8日のスペイン紙『El Pais』は〈今年の第3四半期は62億ユーロ(8060億円)の赤字が見込まれ、また来年の株主への配当金が廃止される〉と報じた。

囁かれる数々の「不安要素」


 さらに、ドイツ銀行の行方に不安を撒く種として次の4つの要因があるとスペイン電子紙『Credit y Rapidos』は挙げている。

*フォルクスワーゲン(VW)の不正ディーゼルエンジンがもたらす問題と、それがドイツの他社自動車メーカーに及ぼす影響。

*中東や中央アフリカから流入して来る難民の問題。

*ドイツの輸出が後退している。

*ドイツの重要な貿易取引相手国である中国の景気後退。

 また、フォルクスワーゲンの不正問題への賠償などから、取引銀行のドイツ銀行は当面〈100億ユーロ(1兆3000億円)をVW社に融通することになっている〉ということも報じられており、この不安要素をさらに深刻なものにしている。(参照:「mil21」)

 他にも、スペイン語圏ではドイツ銀行の経営に関わる不安の種は大小さまざまなWebニュース、ブログなどで取り上げられている。

 同銀行が経営難にあるという噂から、〈ロシアは同銀行から50億ユーロ(6500億円)を引き出した〉という話や、〈最近3年間に違法行為があったとして80億ユーロ(1兆400億円)とその弁護料などで70億ユーロ(9100億円)を支払っている〉ということが取り沙汰されていること(参照:「mil21」)。

 昨年5月に〈最高30%の値引きをしてまで流動資金だとして80億ユーロ(1兆400億円)の同銀行株を売却〉しているほか、今年3月に〈ストレステストを受けて不合格〉となっり、英国と米国とのLIBOR取引で不正があったとして米国法務省に21億ドル(2520億円)の罰金を支払う〉羽目になったことや、スタンダード&プアーズは今年6月に〈BBB+に降格〉させたこと、昨年と今年で〈二人の頭取が辞任を表明〉したことなど不安要素は数多く指摘されていること。(参照「El Robot Prescador

 などなどだ。

 ギリシャの財政危機では、ギリシャはユーロ圏に残留することを決めたが、仮にユーロから離脱ということになっていれば、ドイツ銀行がギリシャに融資した資金は不良債券となってしまう。それをドイツ政府は嫌って、ギリシャをユーロ圏に留まらせたという意見もあるという。

 いま、ユーロ圏では「ドイツ銀行は健全な銀行とは言えない」という認識が高まりつつある。これは、もはや一触即発、爆弾を抱えているような状況だ。何かが要因となって爆発すると、ヨーロッパそして世界を危機に陥れることになるのは明白だ。リーマン・ブラザーズの比ではない。

<文/白石和幸 photo by Gizmo23(CC BY-SA 3.0)>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。


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