10月14日 アストロズ戦でア・リーグ優勝決定、シリーズ進出を決めたロイヤルズ
昨季ナ・リーグ王者の余裕など、どこにもなかった。
10月12日、テキサス州ヒューストンのミニッツメイド・パークでのことだ。ロイヤルズの1勝2敗で迎えたア・リーグ地区シリーズ第四戦。シリーズ敗退まであとアウト6つ。2対6と敗色濃厚になった八回表、ロイヤルズは先頭の9番リオスから4番ホズマーまで一気呵成の5連打で2点差に詰め寄った。
一塁ベース上に立ったホズマーは、追い詰められているように見えた。
今までと少し違って見えたのは彼だけじゃなかった。それまでは勝っても負けても公式戦同様、どこか余裕のようなものを感じさせたロイヤルズの選手たちの表情が、どこか引き締まって見えた（ロイヤルズ2014−（青木＋シールズ＋バトラー）＝オールスター独占？）。
続く5番モラレスの投手返しは、3番手の救援左腕シップのグラブを弾いたものの、遊撃前に飛んで絶好の併殺機会。ところがこれを新人コレアが後逸して二者生還し、一気に同点となった。
形成を一気に逆転したロイヤルズの猛攻は、そこで止まらなかった。
6対6の同点から、途中出場の7番ブテラが貴重な四球を選んで1死満塁のチャンスを迎えた。8番ゴードンはいかにも意図的な打ち方で二塁方向へゴロを転がし、自らはアウトになったものの勝ち越しの三塁走者を迎え入れた。
5つのシングル・ヒットと相手の失策に乗じて同点とし、四球と内野ゴロで勝ち越し点を奪う。得意の“足技”こそ見せなかったものの、2014年のプレーオフで見せた“小技”の積み重ねで得点を重ねるロイヤルズの“スモールボール”が再現された瞬間だった。
「あのイニングの興味深いところは、彼ら（ロイヤルズ）が目いっぱい振ってこなかったことだよ」
アストロズのヒンチ監督は試合後、淡々とそう話した。
「彼らの内の誰一人、自分のひと振りで決めてやろうなんて思ってなかった」
7対6と勝ち越した九回、ダメ押しとなる2点本塁打を右中間に叩き込んだロイヤルズの四番ホズマーの試合後のコメントが、彼らの心境の変化を表わしていた。
「今の彼らのプレーぶりからすれば、このまま大人しくしているわけがない」
それまでのロイヤルズは、新人王候補コレア遊撃手を筆頭とした若いアストロズに対し、どちらかと言えば“受け”に回っていた印象があった。彼らの態度を変えさせたのはもちろん、アストロズが健闘したからだ。
「チーム全員の気持ちが、何とか打席で粘るってことに集中していた。終盤に4点差を付けられていたんだから、何でもやらなきゃならなかったんだ」
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