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【スポーツ】

<首都スポ>大学サッカー 早大・八角 武士道精神で挑む逆転Vロード

2015年10月16日 紙面から

ボールも白星も落とさない!! カメラマンの前で華麗なリフティングを披露する、早大DF八角大智=東京都西東京市の早大東伏見グラウンドで(神代雅夫撮影)

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 第89回関東大学サッカーリーグ(東京中日スポーツ後援)の1部は今週末の第18節から本格的な上位対決に突入する。名門早大は現在3位につけるが、その中に特別な感情を抱く選手がいる。ズバ抜けた運動量を誇る左サイドバックで、プロ入りを志望する八角大智(4年・流通経大柏)だ。2010年度の全国高校選手権でベスト4入りし、その後1浪して早大の門をたたいた。ストレートで大学に入っていたら、すでに卒業している年齢。浪人して良かったという思いをかみしめながら、有終の美を飾るべく逆転優勝に挑む。 (取材・構成、関孝伸)

 −1浪しての大学入学でした

 八角「(スポーツ推薦のような)サッカーに特化した形で大学に行くのはやめようと思っていたんです。中学時代から勉強もしっかりとやってきた自負もあったので、普通に受験することにしました。(現役受験生のときは)高校生活最後の全国高校選手権が終わるまではサッカーに集中しようと思っていました。その大会が終わった1週間後くらいにセンター試験を受けましたが、ぶっつけ本番でうまくいきませんでした。ただ、浪人することは高校選手権の時点で覚悟していました」

 −浪人時代はサッカーから完全に離れたのですか?

 「実は大学でもサッカーをやるかどうかは最初は決めていませんでした。でも、自分がサッカーをまたやりたいと考えていることに途中で気づいて、ボールを蹴ったり、走ったりを意識的にやるようになりました。同い年の宇佐美貴史(G大阪)や柴崎岳(鹿島)、宮市亮(ザンクトパウリ=ドイツ)たちがすでに活躍しているのを見て、悔しいし、負けていられないとも思いました。『自分は何をしているんだろうか?』と考えたら、自分自身に対する憤りみたいなものも感じました。志望校にちゃんと合格して、そこで4年間サッカーに打ち込むと決めました」

 −参考書のほか、普通の本もよく読んだそうですね。特に印象に残っているものはありますか?

 「『武士道』(新渡戸稲造著)という本を通して、武士の生きざまにすごく興味を持ちました。その忍耐強さや礼儀を重んじること、自分を高めようとする生き方だったりに心を打たれたんです。明日死ぬかもしれない身だというのに、死を覚悟しながらも今を一生懸命生きていこうとする姿勢に感銘を受けました。武士道が今後の自分を支えてくれる精神的支柱になると思えました」

 −1年後に早大合格を果たしました

 「第1志望は慶応だったんですが、そっちの方はダメでした。慶応の発表の方が先で、落ちたと知って結構焦りましたが、早稲田の方は何とか受かりました。安心しました」

 −1浪によるブランクの大きさを入学後に感じましたか?

 「最初の半年くらいは体力面やゲーム勘などの部分が低下したと感じていました。1浪したことを言い訳にはしたくなかったので、『もっとやらなきゃダメだろう』って自分に言い聞かせていました」

 −試合には2年のリーグ開幕戦から出られるようになりましたが、そこからも順風満帆だったとは言えません

 「2年の途中でグロインペイン症候群(股関節周囲の痛み)になってしまいました。翌年に復帰したんですが、すぐに右膝の内側側副靱帯(じんたい)を損傷して、結局2年の後半と3年の前半をほぼ棒に振りました」

 −今季にかける思いはなおさら強いでしょう?

 「あとがないということで、一日一日が勝負ですし、自分の武士道精神が試されます。今を太く強く濃く過ごすことを常に意識して生活しています。『アイツ、狂ってるよ』って周りから言われちゃうくらいまでやらなくてはいけないと思っています」

 −浪人をしていなければ、もう卒業して今季の大学サッカーの舞台には立っていませんでした。そういう立場の自分が今のリーグ戦で優勝争いをしていることに思うところはありますか?

 「浪人したからこそ、一からまたサッカーに取り組んでいこうと考えることができました。浪人して早稲田に入って良かったということはすでに感じていますが、それが本当に良かったんだとあらためて証明するためにも絶対に優勝したいんです。優勝を争うだけでは意味がなくて、優勝しなければいけないと思っています」

 −高校時代にやり残したこともあると思います

 「リーグ戦のあとのインカレ(全日本大学選手権)で日本一を狙います。頑張ります」

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 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」面がトーチュウに誕生。連日、最終面で展開中

 

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