俺TUEEEEが巷で話題になっていますが、そこから一つ。
とはいえ全体の流れからすると正直あまり関係ない話ですが。
特定の要素をピンポイントに批判する用語が最終的に意義を失う現象
lastline氏による「俺TUEEE」という言葉の変容の分析 - Togetterまとめb.hatena.ne.jp
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劣等生アニメ化以降、「主人公の強さを脇役が称える作品=俺TUEEE」「その定義だとワンピースも俺TUEEEだよな」みたいな揶揄を重ねていった結果、原義が失われて「主人公が著しく強い」に収束した感。
2015/10/16 16:10
こんな感じのブコメを拝見しました。
趣旨はまぁコメントのとおりなのですが、最近色んな所でこの現象を見かけるなぁと。
特に政治系の用語なんかでは頻繁に見かけますが。
ある特定の要素だけをピンポイントに取り上げて批判し過ぎるとその潮流の中で
「でもあれもそうじゃないの?」
という発想が出てきます。
例えば俺TUEEEはわかりやすいですけど
「主人公の強さを称える」
「主人公が強すぎる」
etc...
なんて言われたりするわけですけどこういう特定の要素だけを批判ししてしまうと意図せずに多数の作品が該当してしまうんですよね。
コメントで言うようにライトノベルの作品を主に批判しているはずが別の作品にも普通に当てはまってしまって最初に使っていた集団の意図から大きく外れた運用をされていきます。
俺TUEEはその典型で批判が拡大した最初期はSAO等のライトノベル系の作品を批判する目的でつかわれてました。
ところがその後使用例が無限に拡大していき多数の作品に適用されるようになったんですよね。
空条承太郎
ジョジョの奇妙な冒険はその良い例で第三部の主人公「空条承太郎」がその批判に晒されました。
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ジョジョファンの人達は主人公が俺TUEEなんて呼ばれるのは凄い嫌だったと思うんですけど否応なく飲み込まれていきました。
その結果、俺TUEEにも良い俺TUEEと悪い俺TUEEが有るなんていうよくわからないロジックが生まれるようになります*1。
そうこうする内に使用例がドンドン拡大します。
「良い俺TUEEと悪い俺TUEE」とか、「周りが弱いから悪い」とか自分のテリトリーの作品は該当したくないからなんかどんどん意味が追加されていくんですよね。
その結果多義語になってしまい使う人によって意味が大きく変わってしまいます。
そうするとその用語はある特定の要素だけをピンポイントに批判したかっただけの用語のはずがその意義を失いある種のぼやっとした傾向を無意味に批判するようになっていきます。
俺TUEEだと(最初期の使用者は)ラノベ特有の主人公の何かを批判したかっただけのはずなのに
「強い」という属性をもったキャラそのものにある種の負のバイアスをかける用語
になるんですね。
そうするともうその言葉は意味のコントロールがニンゲンの手を離れてしまって負の要素を撒き散らすだけのモンスターになってしまいます。
適当な批判用語を使いすぎるのはやめといたほうがいいかも。
まぁ・・・何が言いたいかというと、正直なんの益もないですよねと。
誰も自分の好きな作品がなんか適当な用語で批判されたくはないですし。
なにかを批判したいときは特定の要素をあげつらうんじゃなくて、もうちょい構造全体を俯瞰したうえで批判したいものです。
とはいえ俺もこの手の用語は結構使っちゃうんですけどね。俺TUEEなんか結構使ってるし。
※余談
逆に「最近の○○」という用語はどんなに意味が拡大しても「最近」と「○○というジャンル」のみに範囲が収束するから別の意味で厄介なんですけどね。
特定のジャンルを叩きのめしたい人にはものすごく便利。ラノベに限らずね。
しかも用語そのものが常に自分をアップデートし続ける(最近という単語から適用範囲が移ろい続ける)から無限に続くという。
*1:どんどん原義から外れてくな