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【北朝鮮拉致】
「朝鮮にさらわれるぞ」石川で広がっていたウワサ 危機感生かせず、相次いだ失踪
拉致問題を調べている「特定失踪者問題調査会」による現地調査が7日から9日まで、石川県と福井県で行われた。石川での調査では、昔から「北朝鮮にさらわれる」といううわさが住民の間で広がっていたといする証言が相次いで寄せられた。北朝鮮の工作船とみられる不審船も確認されながら、警察が動かなかったという証言もあった。調査会は危機感が広く共有されなかったことが、拉致事件や拉致の可能性を排除できない失踪を誘発したとみて、検証を進める。
■「悪いことしたら朝鮮に連れていかれるぞ」
現地調査は7日午後、石川県七尾市で始まった。七尾市からは昭和38年、乾物店で働いていた坂下喜美夫さん(82)=失踪当時(29)または(30)=が行方不明となっている。
調査には、坂下さんのおい、金上さん(62)が同行した。
すでに失踪から50年以上が過ぎ、坂下さんの失踪に関しては、新たな事実は分からなかったが、金上さんは子供のころ、地元で広がっていた話として、こう紹介した。「悪いことをしたら、『朝鮮に連れていかれるぞ』という脅しのような話が広がっていた」。どこの国の船か分からない船の出入りも確認されていたという。
■港で確認されたハングルの船
北朝鮮に連れ去られるといううわさが住民の間で広がっていたという証言は、輪島市での聞き取り調査でも寄せられた。