2015.10.16 13:23

元月の家円鏡の橘家円蔵さん死去 黒縁眼鏡がトレードマーク

元月の家円鏡の橘家円蔵さん死去 黒縁眼鏡がトレードマーク

八代目橘家円蔵さん

八代目橘家円蔵さん【拡大】

 黒縁眼鏡がトレードマークだった人気落語家の八代目橘家円蔵(たちばなや・えんぞう、本名大山武雄=おおやま・たけお)さんが7日午前3時30分、心室細動のため死去した。81歳。東京都出身。葬儀・告別式は近親者で執り行った。

 1952年に七代目橘家円蔵に入門、橘家竹蔵を名乗る。55年、升蔵と改名して二つ目。65年に真打ちに昇進、月の家円鏡となった。

 下町の語り口やナンセンスギャグの連発で人気を呼び、ラジオ、テレビで引っ張りだこに。「うちのセツコが…」のギャグが大当たりとなった。

 82年に八代目橘家円蔵を襲名し、落語協会相談役を務めた。

落語家三遊亭円歌の話「いつも誰かを喜ばせなくてはと考えている人だった。楽屋に入るとパーッと明るくなる。偉くなってもキャーキャー騒いでいた。そういう方はなかなかいません。落語は、聴いているうちに忘れてしまうことが多いが、お客さまが覚えて帰ってくれるはなしをするのが魅力です。亡くなってしまうとあの芸がなくなってしまう。それが残念です。ご冥福をお祈りします」

落語協会顧問の三遊亭金馬の話「ずいぶん会わなかったのでびっくりしている。テレビやラジオで忙しい時期もあったが、彼の落語は筋にこだわらない八方破れのところが面白い。お客も人情話ではなく、腹を抱えるほど笑わせてくれるのを期待した。その無鉄砲さが魅力だった。亡くなって寂しい」

  • 襲名披露パーティーで会見する八代目・橘家圓蔵(1982年10月)