ソシャゲ的ガチャを実装したドッジボールをするとカオスになる|僕らのガチャガチャドッジボール物語
- 2015/10/16
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「日本のソーシャルゲームは運ゲーばっかりだ。」
みなさんにとってガチャってなんだろうかっていう話ですね。
ソシャゲガチャの考え方
ソシャゲにおけるガチャと、スーパーに並んでいるガチャポンでは、何もかもがまるで違うものです。
日本人はガチャが好きと韓国ゲーム開発陣の方々は口をそろえて言いますが、ガチャに関する抵抗が異常に低いのがその理由といえるのではないでしょうか。
実際にガチャポンの殆どは、コレクター性を突かれるものが多いです。種類を揃えたい、でもなにが出るかはわからない、でも欲しい、みたいなね。
そこから少しだけ時代を進めると、カードダスって言うものが誕生したんだ。
この頃からようしゃくソシャゲガチャの足音が聞こえ出したと言ってもいい。
それまでのガチャガチャは、出たものそのものに優劣はなかった
例えばキン肉マン消しゴムガチャ。
もちろん好き嫌いはある。だれだって主人公であるキン肉マンが欲しかっただろうし、敵ながらかっこいい超人キン消しが欲しかったものです。全然関係ない話だが、キン肉マン「消しゴム」、略して「キン消し」と呼ばれているこのゴムは、消しゴムのくせに鉛筆の字を消すと、まっくろく伸びてさらに汚くなる謎の仕様だったのを今でも覚えている。
でも、出たものに優劣はない。ただたんに「それがほしい」という情熱はあるだけ。あとはキン消しを使ってお人形ごっこならぬ、キン消しごっこをして遊ぶので、これは遊ぶ人たちのルールに全てが委ねられる。
キン肉マンだから最後は必ずマッスルバスターで勝つという暗黙のルールがあったり、アシュラマンは最初圧倒的に強い(理不尽)というように、遊ぶ彼らが決める彼らだけのルールがあったわけです。
でもカードダスからは、カードそのものに優劣がつき始めるんだ。
http://carddas20.seesaa.net/thumbnail2.jpg.html
カードダスには、ほとんど説明はなく、謎のHPという数値や、謎の攻撃力といった数値が記載され始めた。
しかし、当時小学生だった者たちなら誰でもわかるかもしれないが、ルールがあまりにも徹底されていなかったのだ。この数字があるからどうなのっていう話になることが多かったわけ。
ルールが徹底されていないものだから、とりあえずHPの高いものを持っているから強い(確信)みたいな、ある程度アバウトな優劣が生まれていたわけです。
ソシャゲ的ガチャが誕生したのは遊戯王デュアルモンスターズ
この男、ユーギボーイこそが戦犯。
彼らのカードは、それぞれが持つ細かい特殊能力が書かれている上、攻撃力、防御力といった数値、そして、「少年ジャンプ」という漫画媒体を通じて、日本全国の子どもたちに徹底した「遊戯王ルール」を広めることに成功している。
この「ガチャ」と言うのは、ルールがあるからこそ他人との優劣に格差が誕生し、付加価値がついてくる。
ルールのないキン消しガチャや、ルールがあまり知られていないカードダスには、他人との格差というものが無いと言っても過言ではない。あるのはコレクターとしても価値であって、カードや物そのものの優劣ではない。
しかし、ルールが徹底されることで、ついにガチャに一つの付加価値が付け加えられるようになった。
それが、「公式公認のチート」というものだ。
お金をかけ、出るか出ないかわからない物を買い続けて、ようやくだしたそのレアカードには、他の人との大きな格差を発生させる。
特に遊戯王において、始めの頃に最も価値がついたのは、青眼の白龍(と書いてブルーアイズホワイトドラゴンと読む)カードの存在だ。
漫画の中でも実際に世界で3枚しか無いウルトラカードとして設定されており、漫画でこのカードに対する欲求を膨らませていた。
とにかく圧倒的な攻撃力で、とりあえずこれが出たらもう勝ち確定みたいなチートカード。もちろん遊戯王には、トラップカードによる様々な戦略があるため、100%勝てるというものはないが、でたらもう大体負けるという圧倒的な強さを誇っていた。
このカード、なんと発売前に、ジャンプフェスタ1999で1,000枚のみ配布される。
現在でも、このカードだけは特別な付加価値がついており、50,000円前後で取引されているが、当時はさらに30,000円~100,000円前後というアホみたいな価格で取引されていたのだ。
そう、チートなのだ。
一般的にオンラインゲームと呼ばれる他人と関わるゲームは、チートツールは禁止されている。
みんなで遊ぶルールに突出して強い奴がいてはいけない。だからガンシューティングゲームなどのFPSゲームでのチートは、直接強さに関わるため、常にチートツールを使って勝って優越感に浸りたい馬鹿と、それを防止するゲーム運営サイドとの永遠と呼べる無益な戦争が行われている。
しかし、チートツールもタダではない。
実は結構お金がかかる。
お金をかけてまで優越感に浸りたい。そんなチーター達の夢を叶えてくれるのが、ソシャゲガチャというもの。
つまり、公式ルールを運営が一定の周期で破壊をし続けるシステム
凶悪な青眼の白龍も、実はスターターパックという、まとめて買うと必ず一枚ついてくるという仕様で販売されたことがある。
するとどうだろう。もはや誰でも持っているカードになり、チートで弱い者いじめしていた人たちはこんなカードになんの価値もなくなることに気がつくだろう。実際にその価値も大きく下がり50円~200円で取引されるほどに。
そこで運営は次のチートカードを誕生させる。
遊戯王で言えば神のカードシリーズ。
攻撃力3000でもつえーつえー言われていた青眼の白龍ですが、次に誕生した神カードは攻撃力4000、防御4000ともはや青眼の白龍がモザイクでかすんで見えるほどのザコになる。
ちなみにこのカードはさらにチート技をもっていて、場に出た瞬間相手のフィールドモンスターを全て破壊するという設定が施されている。(神カードはおどろくほどチートすぎて公式大会使用不可になる)
さらに、手札にもっているカードの数=攻撃力となるというチートカードまでうまれる。
カードを増やすデッキ編成をすると、その攻撃力、防御力は簡単に9000を超える。
ブルーアイズホワイトドラゴンとは何だったのか。
このように、ルールがあって、そのルールの中で競う場合、チートカードの存在は非常に重要な役割を果たす。もちろん純粋に強いカードが強いわけではない。このカードを場に出すために色々苦労することはあるけど、持ってる人と持ってない人の差は大きい。
これが、現在のソシャゲガチャにそのまま引き継がれているシステムとなる。
基本的にガチャを引いて強いカードを出しても、しばらくするとさらに強いカードが出てくる、もしくは、そのカードは期間限定で強いだけで、ある期間を過ぎると弱くなるという驚くほど単純で鬼畜な設定が用意されている。
そんなソシャゲワールドを現実にもってくるとこうなる
小学校。みんなで休み時間にドッジボールをしようと集まる。
審判がいない=チートツールが使えない=普通のドッチボールになる。
でしゃばりで、怖い審判先生がいる=特別ルールが適応される=ソシャゲドッチボールになる。
ここはとても重要な要素で、結局のところ、このルールを作っている人がみんなからお金を搾取できる事になります。
さて、健全なドッジボールが始まるわけですが、果たして本当に健全でしょうか。
山田くんは毎日毎日親に怒られながら塾に行き、勉強勉強と泣きながら頑張っていました。
工藤くんは全く自由に育てられ、毎日のようにドッジボールを友達としては、遅くに帰り親に怒られていました。
この二人のドッジボールに対するスキルは歴然です。毎日ドッジボールをしているBくんはヒーローです。女子にもモテ、彼女もいるかもしれません。
この二人が学校というキャパの中で同時に試合に出される理不尽さと言うのは中々のものです。
そこで審判先生が色々と考えました。
100円でガチャをひきましょう。
8%の確立で、1試合につき1球だけ、ドッジボールを野球ボールに変える事が出来るカードが引けます。
3%の確立で、1試合につき1球だけ、ドッジボールをゴルフボールに変える事が出来るカードが引けます。
あとはクズカードです。
一度だけ好きな女子と同じチームになれるカードは、試合を左右しないけど少し人気があって取引されました。
これで山田くんは1200円のガチャをして、見事ゴルフボールをゲットしました。毎回山田くんは1試合につき1球だけゴルフボールでぶん投げることができます。
あくまでも有利になるだけで勝ち確定ではありません。これは平等です。
最初からステータスの違うAくんとBくんの溝を、見事にガチャで解決することができました。
そうこうしているうちに、クラス全員が、ゴルフボール、もしくは野球ボールを、1試合に付き10球位投げれるようになりました。
もはや試合中ボールを取ることが困難です。
そこで審判先生は考えました。
第2弾ガチャが誕生します。
なんと1試合につき、一回だけ一度あたってもライフが減らないカードが実装されました。現状、ドッジボールだけど、ゴフルボールとかキャッチ不可能なので、直ぐに当てられて外野に回されます。
そんな時に現れたこの第2弾ガチャはとても価値が高く、飛ぶように売れました。
そうこうしているうちに、クラスの田中君が第2段ガチャやりすぎて、ライフ50とか持つようになります。もはやクラスでは「田中さえ味方に入れば負けることは無い」と言われるほどになりました。
他の人も必死にライフゲットの為にガチャを回しますが、確立1%なので、中々でません。どんどん使えもしないクズのカードが溜まっていきます。
きっとこのクズカードは卒業するまでゴミでしょう。
しかし、ゴミを増やしてはやる気がでない生徒達のために、審判先生は考えました。
ゴミカード15枚で、ガチャ1回引けるようにしたのです。これが成功し、されにガチャを回す生徒が現れました。
さて、それにしても田中君が死ななすぎる問題は深刻です。また、ガチャが回るようになり、ライフが生徒全員増えていくことで、ゲームが長くなる問題も起こりました。
そこで、第3段ガチャをつくります
今度は、火力調整に、ライフを一発で5削る事が出来る赤球ドッジボールが誕生します。
しかし、死なないことに快感を覚えてしまったライフ田中は、第2弾のガチャばかりまわし、ライフを80まで増やします。
ライフ田中を打ち取るべく、脳筋野郎たちは第三弾ガチャで赤球をたくさんゲットしていきます。
中でも赤球を50発獲得したエース三沢は、ライフ田中を倒せる唯一の勇者と呼ばれるようになる。
また、第2の田中を作ってしまっては意味が無いので、審判先生は考えました。
そこで第2弾ガチャは、月に1日だけの期間限定ガチャにしたのです。しかもドッジボールに参加した生徒しか買えないという付加価値をつけることで、ドッジボール参加者を増やす作戦に出たのです。
また、今のソシャゲでは当たり前になってしまっていますが、昔はなかったものが有ります。
それが、デイリー報酬と、デイリーミッションです。
試合に参加した者には、必ず第一弾のガチャが1回だけ引けるようにしました。これによってドッジボール参加者がふえ、より審判先生の生活が潤うことになります。
こうして、第4弾にエアーガンの実装。
第5弾に盾の実装等を繰り返し、当たりがでるまで気が狂ったようにガチャを回す生徒たちが増えました。
第6弾にかんしては、衝撃派を打つふりをされたら飛ぶふりをしなければならない、という超絶ウルトラレアカードまで誕生する。
そしてこの頃から、無課金厨と課金厨の間に深い溝が生まれることとなります。
無課金厨と課金厨
無課金厨とは、毎日デイリーをこなしてガチャを1日1回ひいてのんびりやるプレイヤー。
課金厨とは狂ったようにガチャを引いて、とにかくチート的強さを得るプレイヤー。
この対立は非常に大きくなります。
課金しているプレイヤーからしてみると、そんなザコが同じチームになってしまったら、負ける確立が高くなってしまうからです。
また、課金したくても家庭の事情で課金出来ないものもいますし、そもそもこのクソゲーにお金を使いたくない人だっています。
そこで審判先生考えました。
ある程度の強さを数値化し、なるべく同じような強さの人たちで争いをさせようと。
例えば月額2000円ほど課金する生徒だけが集まれば、その中で今月頑張って3000円課金した生徒がヒャッハー!出来るわけです。
同じように無課金者同士が闘う場合、たった500円でも課金すれば一気にヒャッハーできる様になり、課金の力を味わうことが出来ます。
当然、1ヵ月ごとにこのグループを組み直しすることで、どのグループにいても、その月、課金したプレイヤーはヒャッハー出来るシステムを作ることに成功したのです。
このシステムが素晴らしい点は、月額20000円近く課金しているプレイヤーでも、そういうプレイヤーばかりで試合を行うことになるので、その中で「オレつえええええええ」やるためには、23000円課金しないといけないという事です。
新規プレイヤーの入りにくさ
審判先生はもはや、毎月ハワイにいって優雅に生活していますが、幾つかの問題が発生します。
例えば、ある程度グループ化に成功したとはいえ、初期からやっているライフ田中、エース三沢、ゴルフボールの山田といった英雄は、課金をやめないかぎりどんどん強くなっていきます。
そんな時に、新しいプレイヤーを迎えるのが非常に困難となります。
もちろん新規ドッジボールプレイヤーには、無課金グループからスタートしてもらうわけですが、もう住む世界が違うのです。
もはや廃課金者がやっているゲームはもともとドッジボールと呼ばれていたゲームではなく、別ゲーです。山田はゴルフボールを投げ、ライフ田中は死なないし、エアーガンの佐藤がやっているのはもはやFPSです。
そこで、誕生したのが、
「今新規学校ドッジボールを始めると、超ウルトラレアカードである、無限野球ボールと、一度ボールを当てられて外野にまわされた時に、自分の好きなタイミングで1回だけエリアに戻ることが出来る復活のフェニックスカードプレゼント!!」
である。
また、ハイパーブーストキャンペーンという名の、1週間毎日このドッジボールに参加すれば、毎日20枚無料でガチャが引ける!的な事をやり始めます。
大体この辺りがピークです。
次に出てくるのはカムバックキャンペーンです。
「30日以上、このドッジボールに参加してないプレイヤーが、今戻ってくるなら30連ガチャが無料、また、ドッジボール中に乗ることが出来る騎乗馬ペットプレゼント」
みたいなのが発生する。
この頃になると、廃課金プレイヤーしか残っていません。
何もしてないプレイヤーが増えてきます。
そこで審判先生考えました。
ソシャゲ的ガチャ野球開幕!
新しいガチャ要素を引っさげ、全く新しい野球がはじまる!!!
と、いう具合にですね、なんか似たりよったりなガチャゲーがまた新たに誕生していくわけですね。無限に。
さて、この一連の流れの中で、このルールを作った人、審判先生はとても偉大です。
新たにルールを付け加え、強さ、バランスをガチャで崩し続けることで、収入を増やします。
もうガチャという言葉で隠すのはやめましょう。
ゲームで登場するガチャは、言い換えると一時的チートツールです。
皆さんにとって、その指先で行っている一時的チートツールによる大勝利プレイ。
ほんとに楽しいですか?
おれつええええええ感が得られるのは、ルールとチートツールがあるからです。でもそのルールを作ってる人に従い続けることに、そろそろ疑問を感じてもいい頃じゃないでしょうか。
海外製のゲーム(韓国除く)は、どちらかというとガチャはありません。
時間を短縮するための一定の価値を買う事は多いですけどね。例えばものづくりゲーなら、物作る工場生産ラインを1個追加に40円とか。だから私は個人的にSteamの中のゲームが好きなんですけどね。
オフゲであるプレステ3、4などもそうです。ソフト買えばあとは楽しめる。でも最近はどんどんその中に妙なガチャがねじ込まれていってますよね。それは結局私達がガチャという名の一時的チートツールを必死に買って、他人より優れたいという気持ちのあらわれなんですけど、ほんとのところはどうなんでしょうかね?
実は心のなかではガチャなんてやりたくないとか思ってるんじゃないですかね。
そう思っているなら一旦従ってみるのもいいと思うんですよね。だってこのままほっといたらどんどん増えていきますよね。
運ゲーが。
面白いですかね、こんな運ゲーだらけの日本のゲーム。
さて、皆さんはどう感じますかね。
それでは、また。
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