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企業の信頼を揺るがす性能偽装が相次いで発覚した。 タイヤメーカー大手…
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企業の信頼を揺るがす性能偽装が相次いで発覚した。
タイヤメーカー大手の東洋ゴム工業は、船や電車の振動を抑える「防振ゴム」の性能試験結果を改ざんしていた。横浜市のマンションでは、旭化成建材が請け負った杭工事の施工記録を偽装していた。
乗り物と住居という、暮らしに密接な製品だ。顧客を裏切る行為と言わざるを得ない。
両社は製品交換や補償に真摯(しんし)にあたるべきだ。同時に安全性に関する情報を開示し、不正の原因を徹底調査してほしい。
東洋ゴム工業の場合、18社に納めた189種類、8万7804個の部品が不正なデータに基づいて出荷されていた。3月に免震ゴムで性能偽装が発覚したのを受け、同社は主要製品の緊急品質監査をした。8月10日に「安全宣言」を出したが、その10日後に内部通報があり、防振ゴムの材料試験結果の改ざんが明らかになったという。
監査が不十分だったことは明らかだ。しかも出荷を止めたのは内部通報の2週間後。事実を知ってから約1年間、明らかにしなかった免震ゴム不正の教訓はどこへ行ったのか。
同社では07年にも断熱パネルの試験データ偽装が発覚し、社長が辞任している。「3度目の不祥事を起こしたら会社の存続が危うい」。免震ゴム問題を調査した社外チームはそう指摘した。なぜ相次ぐのか、性能試験に対する認識や情報開示、即応体制の構築など、社の体質を根本的に改める必要があろう。
一方、基礎杭のデータが偽装されていた横浜市のマンションでは、旭化成建材が固い地盤に達していない恐れのある38本のデータを別データと差し替え、基準を満たしているように見せかけていた。その結果、築10年足らずで建物は傾いた。
販売・施工会社を信頼してマイホームを手に入れた住民への背信行為だ。旭化成建材は、データの記録に失敗したために差し替えた可能性が高いと説明するが、データでっち上げの言い訳にはならない。
旭化成建材は、過去に杭工事をした全国の約3千棟について調査する。すみやかに進め、住民の不安にこたえるべきだ。
二つの事例に共通するのは、試験や施工といった製造過程でデータが偽装された点だ。
利用者には見えない部分で、手を抜いた側面はなかったか。専門的で特殊な作業ほど、情報はメーカーが握る。品質保証とは、顧客との信頼関係で成り立っていることを、メーカーは肝に銘じるべきだ。
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