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 10代だった女性への強姦(ごうかん)罪などで懲役12年とされて服役中、被害証言がうそと判明して釈放された大阪府内の男性(72)のやり直し裁判(再審)で、大阪地裁は16日、男性に無罪判決を言い渡した。芦高源(あしたか・みなもと)裁判長は「身に覚えのない罪で自由を奪い、誠に残念」と述べた。再審で無罪判決を求め、男性に謝罪した大阪地検は上訴権の放棄を即日申し立て、控訴期限を待たず無罪が確定した。

 芦高裁判長は、2004年と08年に男性から自宅で強制わいせつと強姦の被害を受けたとしていた女性が昨年になって「被害はうそ」と弁護人に告白した▽地検の再捜査で見つかった当時の診療記録にも「性的被害の痕跡はない」との記載があった――という二つの新証拠を踏まえ、無罪の判断を導いた。

 そのうえで、捜査・公判段階での女性の供述内容を改めて検討。隣室に家族がいる中で被害に遭ったとしたり、被害を受けたとする時期が大きく変遷したりするなど当初から不自然な点があったと述べた。

 今回の再審で弁護側は、捜査段階から最高裁に至るまで一貫して冤罪(えんざい)が見過ごされた原因を解明するため、取り調べた検事らの証人尋問を求めたが、芦高裁判長は退けていた。

 判決後、大阪地検の北川健太郎次席検事は「当時の証拠関係からすれば起訴相当の事案だった。結果として無罪となるべき事件を起訴したことは遺憾。十分な証拠の収集・把握に努め、基本に忠実な捜査を徹底したい」との談話を出した。