1 記事の紹介
ロシア政府のユネスコ委員会のオルジョニキゼ書記が「日本のシベリア抑留資料の世界記憶遺産への登録をめぐり、旧日本軍による『南京大虐殺』に関する資料と同様、ユネスコの政治利用であり反対するとの見解を示した」という記事です。ロシアも日本が中国に行っていたのと同様に、「ロシアが日本側に登録申請をしないよう働き掛けていたことを明らかにし」ました。
「日本政府は中国の南京大虐殺に関する登録申請を『ユネスコの政治利用』と批判しているが、同書記は『日本こそが申請によって“パンドラの箱”を開けた』と批判し」ているともしています。
2 視点
後出しじゃんけんと言われそうですが、最初、世界記憶遺産への登録のニュースを見た時、この「シベリア抑留」の資料も多少引っかかってはおりました。ただ、正直私が、やはり日本よりで見ていたこともあり、登録されたことについて、これも登録になったのか位に軽く見ていたというのが正直なところです。
中国の場合「南京大虐殺」の位置づけは日本の「シベリア抑留」とは比べものにならない位、重くとらえているので(よくわからない「日本語」で質問して日本を批判する中国国営放送)、一概に同じようなものとして考えることはできないのかもしれません。
しかし、今回のロシアの行動に対して日本人(私)がどのように考えているかについて、内省してみることは、中国人が日本政府の行動について、どのように考えているか分析するにあたってかなり有効ではないかと考えた次第です。
3 「事実」
今回登録されたものがどのようなものか詳細はわからないにしろ、日本人にしてみれば、シベリア抑留があったのは間違いないのだから、ロシアは何をごちゃごちゃ言っているのかというのが基本的な感想ではないでしょうか。これをそのまま移行すると、大方の中国人にしてみれば、「南京大虐殺」があったことは間違いないのだから、今回の登録に反対することは虐殺そのものを全否定するトンデモナイ行動と言うとらえ方をしているのではないかと思います。
そういう感情の前には、中国共産党が提唱する犠牲者「30万」という数字がどうこうというのは、単なる言い訳にしか聞こえないということもあるのかもしれません(「中国で一番有名な日本人」加藤嘉一氏が南京大虐殺を否定した理由?)。
4 公平
あと、前回のエントリーの重要な視点として「公平」という観点から書かせてもらったわけですが(「南京大虐殺文書」のユネスコ登録は「公平」か)、もしかするとユネスコは結構バランス(公平)を考えていたのかもしれないと思った次第です。というのは、「シベリア抑留」で日本に1つ貸しをつくったのだから、「南京大虐殺」でその借りを返せ位の思惑があったのではないかと思ったというわけです。
ユネスコにしてみれば、一国だけ特別扱いできないというのは当然の話で、常任理事国で負担金も増えつつある中国の意向も全く無視できないというところがあったのではないかと考えます。
5 最後に
そういう観点から、今回の問題を考えると、「南京大虐殺」が登録されたことをもって日本外交の完全敗北のような報道(とらえ方)がなされておりますが、そこはもう少し柔軟に考えても良いのではないかと思った次第です。なお、私は個人的には、ユネスコに対し、負担金を盾に言うことを聞かせるという発想は、典型的なパワーポリティクスで、あまりスマートではないと思っております。
もしやるなら、もっと搦め手の政策をとるべきかと考えますし、それに負担金の減額が実際に出来るのならともかく、日本のこれまでの行動パターンから言って口だけに終わるのではないかとも思っています。
本当にやるのなら、ごちゃごちゃ言うのではなく、いきなり最後通牒を突きつける位のことをするべきかとも思っています。
FOLLOW US