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軽減税率:増税時は簡易版検討 数年後インボイス導入

毎日新聞 2015年10月15日 21時50分(最終更新 10月16日 00時48分)

現行方式とインボイス、簡易版の比較
現行方式とインボイス、簡易版の比較

 政府・与党は15日、生活必需品の消費税率を低く抑える軽減税率への事業者側の対応に関し、商品ごとに税率や税額を明記した請求書(インボイス)の導入を当面見送り、当初は現行の請求書を基にした簡易版とする案を軸に検討に入った。軽減税率では税額把握などの容易なインボイスが適切とされるが、事業者の事務負担が急増するため経済界からの反発が多い。2017年4月の10%への引き上げ時から3〜5年程度は簡易版とすることで負担の緩和を図り、経済界の理解を得たい考えだ。

 自民党の宮沢洋一税制調査会長は同日、経団連の榊原定征会長、日本商工会議所の三村明夫会頭と相次いで会談し、公明党の斉藤鉄夫税調会長とも電話で協議。宮沢新体制の自民党税調が本格的に始動した。

 欧州連合(EU)諸国はインボイス発行を売り手側に義務づけ、商品ごとの本体価格と税率、税額のほか、不正を防ぐため事業者番号なども記載している。しかし、事務負担が大きく、「中小企業が対応できない」などの指摘は多い。

 一方、公明党は、現行の請求書で軽減対象品目に印をつけて税率ごとの納税額を判別する「簡易版」を提案している。インボイスより記載項目が少なく事務負担は小さいが、記載が単純で不正を見極めにくいなどの弱点がある。

 ただ、インボイス導入には準備期間が必要で、増税時に間に合わせるのは難しい。このため、まず簡易版で対応する「2段階論」が浮上。政府高官は「増税と同時にインボイスを始めるのは難しい。3〜4年はかかる」として、容認する考えを示した。公明党の井上義久幹事長は15日の記者会見で「我々の提案を軸に詰めていきたい」と述べた。

 中小企業を多く抱える日本商工会議所の三村会頭は15日の記者会見で「軽減税率は(消費税率)10%の段階では必要ない」との考えを改めて示しつつも、「事務負担の問題は最善の方法でやってほしい。喜んで検討に参加したい」と協議に応じる意向を示した。

 一方、もう一つの焦点となる軽減税率の対象品目について公明党の井上氏は「消費が冷え込むと景気にも大きな影響が出る。できるだけ幅広く考えたい」と述べ、広く対象とすべきだとの考えを強調した。対象品目について自民党は消費税の減収を懸念して狭くすべきだとの考え方が根強く、議論は難航が予想される。【横田愛、大久保渉】

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