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2015年10月16日 09時42分 UPDATE

「偏差値60」のAI開発に中国参戦 日本人研究者にも触手 その実力は (1/4)

AIの開発に中国が本腰を入れ始めた。ターゲットにするのは「大学入試」だ。入試はAIの性能を証明する領域でもあり、すでに研究協力に“触手”を伸ばされた日本人研究者もいる。

[産経新聞]
産経新聞

 人間の知能の働きを再現するコンピューター「人工知能(AI)」の開発に中国が本腰を入れ始めた。次世代の「産業革命」を起こす潜在力を秘めているとされ、世界中で開発競争が繰り広げられるなか、中国がターゲットにするのは「大学入試」だ。入試はAIの性能を証明する領域でもあり、すでに研究協力に“触手”を伸ばされた日本人研究者もいる。ただ、中国では最近になって、AI研究のデータに不正が発覚する不祥事が表面化。その実力には疑問もつきまとう。謎のベールに包まれた研究の実態とは−。

3年間に30億円

画像 大阪大などが開発した、対話できる人工知能搭載の女性型ロボット「ERICA(エリカ)」。中国は日本人研究者にも協力要請の“触手”を伸ばしている

 人間の頭脳の働きを、そのまま再現するコンピューター、AIの開発は実現すれば産業界のみにならず、あらゆる人間の営みに波及するだけに、近年、科学大国・米国をはじめ欧州や日本でも急速に開発競争が激化している。

 そこへ参戦してきたのが中国だ。ターゲットは、AIの性能を明瞭に証明できる「大学入試」の領域とされる。

 中国政府は国家プロジェクトと位置づけて開発に着手。国内のみならず、国外の研究者にも協力の打診を進めている。もちろん日本も例外ではない。

 文部科学省の外郭団体「国立情報学研究所」(東京)の新井紀子・社会共有知研究センター長も、打診を受けた一人だ。今年5月末、中国側から研究に協力を呼びかけるメールが届いた。そこには、中国が開発にかける資金が3年間で30億円と具体的に書かれていた。

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