小林恵士、下山祐治 桑山敏成、工藤隆治 永田大、豊岡亮
2015年10月16日08時14分
横浜市の大型マンションが傾いた問題は、杭を施工した旭化成建材が全国の物件を調べることになった。数百世帯が暮らす建物の基礎部分のデータ偽装は、なぜ起きたのか。ずさんな施工管理に業界からは疑問の声があがり、難航する改修に住民は不安を募らせる。
「記憶があいまいだ」。旭化成建材の社員は、横浜市のマンションでの杭工事に関するデータ偽装について、旭化成の調査にこう答えているという。
建築基準法施行令は、マンションなどの大きな建築物について、杭を「支持層」と呼ばれる強固な地盤まで打ち込んで固定するよう定めている。
旭化成の説明によると、掘削機のドリルで穴を開けて杭を打ち込む際、ドリルに加わる抵抗値で支持層に届いたか確認する。抵抗値は電流に変換され、地上のプリンターでデータを記録する。問題のマンションでは、支持層に届かなかった杭についてデータ取得に失敗し、別の杭の施工データを報告書に転用していた。
問題があった8本の杭を担当したのは、旭化成建材の社員がリーダーを務める5人ほどのチーム。メンバーは調査に対し、データが記録できなかった理由を「プリンターの電源やインクが切れていた」「紙が汚れてデータが見えなくなった」などと説明しているというが、データを偽装した経緯は説明していないため、調査委員会が聞き取りを続けている。
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朝日新聞社会部
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